月うさぎ

白雪姫と鏡の女王の月うさぎのレビュー・感想・評価

白雪姫と鏡の女王(2012年製作の映画)
4.0
白雪姫が戦うお姫様に?!女王とバトルを繰り広げるコミカルなファンタジー…というより、これはギャグでしょう。
予備知識なしで映画を見ると相当ズッコケます。
でも、バカバカしさの中にも美しいメッセージがあり、映像的にも見所がいっぱい。
映画のどこに注目するかで印象、感想が異なってくることでしょう。大好きという方とわからない方に分かれるかも。

まずは、ジュリア・ロバーツ演じる意地悪な継母の女王が見ていて「楽しい」!
年増になっても表情の豊かさの中に、美しさ、かわいさがあり、下品さもあり。
あからさまに嫌味な意地悪さもコミカルな印象。

子供の頃ディズニーアニメの女王を見て「世界一美しい」なんて全く納得できず不満で仕方なかったのですが、彼女なら、確かに王女が(少なくとも若い頃は)世界一美しかったかもねと思いました。
加齢による美貌の衰えや若さへの羨望と嫉妬。これなら共感できますよ。

白雪姫登場で、「イモト?!」と吹き出しそうになりました(^_^;)
なんですか?あの黒黒しい眉毛は~!
実は白雪姫はブスだった。という物語かと思いました。
(でもそうじゃありませんでした)
眉毛以外はとても可愛いのでそのうちに慣れてきます。
守られ助けられる美しい白雪姫ではなく、自ら強くなろうとする少女は人間的で魅力的。小人達も存在感たっぷりです。

若くてハンサムな王子もあわれなシーンの連続です。王子は盗賊に襲われて半裸で木に逆さ吊りにされたり、魔法で子犬(の心)にされたりします。
アーミー・ハマーがこんなおバカな役をやってますよと今なら衝撃的すぎて笑えるでしょう。

映画の美しさを引き立てているのはなんと言っても華麗で個性的な衣装です。
デザインは石岡瑛子氏。この映画が彼女の遺作となったそうですが、素晴らしい仕事です。
女性のドレス、小人たちの装束や舞踏会の仮装の奇抜さとチャーミングな魅力は、他の人に真似できないセンスでした。
エンディングに In Loving Memory of EIKO ISHIOKA と クレジットされています。
彼女の手がけた他の作品も見てみたい。

【ストーリー】
王が消息を絶ち、権力を手にした後妻の女王の贅沢な浪費のため国庫は底をつき、民は貧しさに喘いでいた。
そんな時、豊かなバレンシア王国のアルコット王子が王国にやってくる。
盗賊(実は7人のこびとたち)に身ぐるみはがされ助けを求めたのだった。
若くて金持ちの王子と結婚すれば問題解決と張り切る女王。
しかし王子が自分ではなく白雪姫に惹かれているのを知った王女は白雪姫の殺害を命じる。

命からがら脱走し7人の小人に救われた白雪姫は、女王という共通の敵に対抗すべく共闘することを誓う。
盗賊団は義勇団へと変身したのだ。

戦いは剣を抜く前から始まっている。
だれもかわいい娘が汚い手で攻めて来るとは思わない、そこを利用するんだ。
策略のあるなしが勝負の分かれ目だ。

などなど、白雪姫を鍛える小人たちの戦いの極意には説得力がありますよ。

「愛のこもったキスで魔法が解ける」「老婆になった女王がリンゴで毒殺を図る」という場面もアレンジは違うけれど
お約束。
魔法には代償が伴う…というシビアな側面も描かれますし、差別に対するメッセージも発信されていますし、若者の成長も描かれます。
王の消滅の真相にもちゃんと伏線が用意されていたり、ふざけてはいるものの子供だましではない映画になっていると思いました。


エンディングの結婚式のシーンが突然インドのダンス映画みたいになっててとても妙。
主題歌「Love」の原曲は、ニナ・ハートの60年代ポップスだそうですが、映画で歌っているのは白雪姫役のリリー・コリンズご本人。

なぜ突然インド?と思ったのですが、監督のターセム・シンはインドの人なんですって。
この映画そのものがマサラムービーのイメージだったんですね~。納得。

リリー・コリンズは、ジェネシスのフィル・コリンズ(ドラムス&ヴォーカル)の娘さん!こんな可愛い娘がいたのね。
お父さんも昔は子役で役者やってましたしね~。さすが血統です♪
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