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シャーロック・ホームズのTKEのレビュー・感想・評価

シャーロック・ホームズ(2009年製作の映画)
3.5
前年にアイアンマン主演により、一躍時の人となったロバート・ダウニーJr主演の肉体派シャーロック・ホームズ。

推理能力の高さの魅せ方が秀逸で、例えば「現場を一目見てそこにいた人物の動きを映像として再生する」「対峙した相手の様子と動きから先を読み格闘戦で圧倒する」「目以外からの情報で自身の居場所と相手の素性を暴く」と、いわゆる「ホームズ・ヴィジョン」と呼ばれる演出でその能力の高さを分かりやすく見せてくれます。

それでいて偏屈で人間臭く、ちょっとした油断から追い詰められたり、完璧超人でないあたりがハラハラドキドキさせるちょうどいい塩梅になっているかな。

相方のワトソンを演じるのはジュード・ロウで、ホームズ並に頭が切れる上に正義感が強く、それでいて医者であり元軍人で婚約者もいるというパーフェクト超人で格好良すぎる。
ただ、ワトソンが主役だと見てるこちらも感情移入するには圧倒的すぎるので、程々に扱いを抑えているあたりが上手い。


今作はブラックウッド卿という黒魔術を使う怪しげなオカルト魔術師が行う儀式による連続殺人事件をホームズと相方のワトソンが追いかけていく…という話。

話としては結構シンプルですが、いかんせんあまりにもオカルトな儀式がメイン故に動機が理解しづらいのと、最終目標を満たすのに回りくどすぎません?という印象は感じるかもしれません。

ところどころ謎が残りっぱなしなまま話は進みますが、最後の最後で全部解き明かしてくれますのでご安心を。


推理物ではありますが、難解なトリック満載というよりは手品の種明かしをしていく感じで進んでいくのであれこれ考えないで見やすいと思います。

ただ、やはり登場人物が多いので人物関係がゴチャツキそうなのと、街全体が暗い&音楽は最高なのですがこれまた暗いので、アクション要素もありますが熱くなれるところは少ないかもしれません。
全体的に淡々と進んでいく印象で盛り上がりどころに欠けるのが難点といえば難点かも。

特に犯罪全般も「当時だからこそ出来ること」なので、最近の最新技術てんこ盛りの内容に慣れてる人には物足りないかもしれません。

また、続編ありきの作品になっており、いわば「シャーロック・ホームズ前編」のようなものなので、次作を見て初めて総評価出来る作品と言えるかも。


個人的にはロバート・ダウニーJrってこんな役も出来るのか…とあらためて思い知らされた作品でもあるので好きな部類です。
公開当時は長すぎてダルい…と思ったりもしましたが時が経つにつれ面白いと思えるように変わってきました。

見る時代で見方が変わるのも映画の醍醐味と思わせてくれた作品に感謝。
TKE

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