SANKOU

アルカトラズからの脱出のSANKOUのレビュー・感想・評価

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)
4.0
かつては脱獄不可能といわれた孤島の要塞。
この映画はそのアルカトラズ刑務所が閉鎖されるきっかけとなった脱獄事件を描いている。
とてもシンプルな内容だが、脱獄ものはいつでもシンプルに心をワクワクさせてくれる。
イーストウッド演じるのフランク・モリスの渋いキャラクターが印象的だ。
彼は名前を尋ねられた時以外は、相手が挨拶のために名乗っても自らは名乗らない。
内に強い闘志を秘めているのは分かるが、口数も少なく何を考えているのか分からないので、観ているこちら側も取っつきにくさを感じさせられる。
だからこそ、何かをやらかしてくれるという期待も大きいのだが。
傲慢な所長や執念深い囚人に目をつけられながらも、彼は仲間を募り脱獄計画を立てる。
観ている側はフランクの視点に立っているので、果たしてこの脱獄が成功するのかと毎度ヒヤヒヤさせられるが、視点を変えて看守側の立場になってみると、まさか彼がこんな大胆なやり方で脱獄するとは考えてもみなかっただろう。
フランクが凄いのは常に正々堂々としていることだ。
並みの神経の持ち主なら、隠し事があればどこか後ろめたさが面に表れてしまうはずだ。
しかしフランクは全く物怖じしない。
あまりにも堂々とされるから看守も判断を誤ってしまうのだろう。
フランクの度胸には感心させられるが、なぜ彼が刑務所に送られることになったのかは気になった。
詳しいことは分からないが、10代の頃から窃盗や麻薬所持で捕まっていたらしい。
この映画では感情はあまり面に出さないが、とても仲間想いの人間であることは想像できる。
おそらく義憤にかられて暴力を働いたことで、刑期が延びたこともあったのだろう。
脱獄後の彼の消息は不明らしい。
色々と謎は残るものの、シンプルに楽しめる作品だった。
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