ごんす

ワン・デイ 23年のラブストーリーのごんすのレビュー・感想・評価

4.1
作家志望のエマとモテるチャラ男のデクスター。
俗に言う友達以上恋人未満のような関係の二人。
二人の7月15日だけを切り取り23年間見せていく構成。

前半、美男美女が織り成すムズキュンなやり取りに、一体何を観せられている…と思ってしまった。

まぁこういうのは遠回りしつつもやっぱり運命の相手と結ばれるのでしょう、結ばれるのがよろしいですよ多分…と見守るスタンスで前半は鑑賞。

U-NEXT様が涙腺崩壊のラスト15分!とみどころを紹介されていて、こういう紹介ってなんかちょっと…匂いますなと思っていた。
U-NEXT様ともあろうものがこんな陳腐な書き方を…と思ってガッカリしたのだが…。
結論から言うと涙腺崩壊のラスト15分!に間違いはなかった。

涙腺崩壊=良い映画ではなく映画の要素の1つでしかないと思うけど涙腺は崩壊した自分。

この映画に限らず映画の大きな魅力の1つに時間を操れるということは間違いなくあるなと再確認。

映画内での時の経過と実際に鑑賞してから彼らを見守った時間の経過がとても効いていて前半そこまで没入していなかった自分でも泣かされることとなった。

時間を使った映像表現だけでなく、主人公達以外の登場人物達の描き方がとても良い。
物語の都合や主人公達を引き立てる為でなく一人、一人がしっかりと血の通ったキャラクターになっているのが良い。

デクスターとエマの二人以外は登場時間にすれば皆短いのだが、確実に誰一人欠けてもこの物語は成立しなかったように思う。
特にデクスターの父なんかはこの人の視点だけで一本映画観たいぐらい。
終盤のデクスターとの会話は名シーン。


自分としてはこの作品は恋愛映画の枠を飛び越えて人生について考えたくなる映画だった。
当たり前のことかもしれないけど人は関わる人によって人生が作られていくのだということを感じて、
それが恋愛であろうがなかろうが、あの時あの人との関わりが確実に自分の人生を動かしたかも…と思うことは誰もがあるのではないか。
そして一定の年齢になった時にかけがえのないその瞬間のことを思い出し何とも形容し難い気持ちになる。
こんなことまで考える予想はしていなかった。


そしてこの映画を観る前と観た後でパッケージの印象が全然違うのも感動。

涙腺崩壊の四文字以上に素敵な映画を届けようとしてくれてる姿勢が伝わってくるような作品だった。
ごんす

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