Ayumi

ワン・デイ 23年のラブストーリーのAyumiのレビュー・感想・評価

4.0

聖スウィジンの日である7月15日、1日限定上映会で見てきた。この映画は何度も見て大好きなのだけど、エディンバラを訪れて改めて見るとまた違った感動があった。

人気者のデクスターと優等生のエマが卒業式の夜を過ごすが、ムードを逃した二人は友達として過ごすことを選ぶ。「聖スウィジンの日に雨が降ったら、なんとかがなんとか」「とても素敵な話ね」の会話の良さ。

卒業してエマはメキシコ料理店でバイトをしつつ作家を目指すが、なかなか芽は出ない。一方でデクスターはテレビプロデューサーとして有名になり女性とデートばかり。しかし薬物に頼る生活から、両親との関係は険悪なものになり、やがてテレビ業界からも干されてしまう。その間にエマは教師生活を送りながらイアンと暮らし、地道にキャリアを開いていく。

ラストが唐突だという感想もあるが、私はこれこそ人生なんじゃないかと思う。すれ違いばかりだった二人が一緒になり、キャリアが落ち着き、さあ幸せな生活というわけにはいかない残酷さが人生にはある。しかし、ここでイアンが店にやってきて言うセリフの良さときたら。「エマは君といると輝いていた。エマは君をまともにし、その代わり君はエマを本当に幸せにしたんだ」と。そしてデクスター父の「エマがいるように生きてみてはどうか。わしは10年間そうしてきた」と言うとおり、人は大切な人を失っても生きていける強さがあるのだと思い知らされる。

卒業式の夜に歩くエディンバラの景色や、旅先で飛び込んだプール、二人で歩きそして23年越しに娘と登る丘。いつまでも観てられるほど美しくて、そしてこのエディンバラを自分も歩いたんだという嬉しさがある。
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