Ayumi

哀れなるものたちのAyumiのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます


ベラが父権的な束縛から脱し、世界を学び、自分の意思で生きていくこと、そしてそれを肯定するというメッセージを強く感じた。船の上で嫉妬に狂ったダンカンが「本のせいで可愛らしい話し方が失われてしまう」と言い、本を投げ捨てた時、マーサが別の本を手渡す。とてもいいシーンだと思った。

しかし引っかかってしまうのは、まだ知性や判断力に幼さの残る(と見られる)女性が、かなり年上の男と旅に出て、セックスしてしまうこと。急速に成長しているとはいえ、まだ歩き方にぎこちなさが残り、知らないことに触れると興奮してしまう精神年齢の人間の行動を、自由意志として肯定していいものなのだろうか。一人の人間の成長を描くのにあまりに性的な側面に偏りすぎていて、男性のファンタジーじゃない?と思ってしまった。

ベラがゴッドに「生は魅惑的なものだから許す」と言うシーンがあったが、亡くなった人間を甦らせる行為は許されるのか、という議論はしなくていいのだろうか。ヴィクトリアが不幸な人生を送っていたから、とゴッドの行為が正当化され、その議論が置き去りになったように感じられた。

絵画のようなリスボンやアレクサンドリアの場面、エマ・ストーンの演技も含めて評価されるのは納得しながらも、細かいところに引っかかってしまい、手放しで褒める気にはなれなかった。
Ayumi

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