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ミーン・ストリートのSembのレビュー・感想・評価

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)
4.0
これは素晴らしい。持て余した力をぶつけるしかない若い男たちの怒り。友を見捨てられない男の葛藤を60'sの名曲で飾る。オープニングを飾るロネッツのBe My Baby。フィル・スペクターが仕掛けた大瀧詠一のようなウォールサウンドの透明感が凄まじいヌケの良さを生んでいる。どん詰まりで希望の見えない閉塞的な状況なのに、音楽と勢いに任せた爽やかな風が吹いている。ぶっちゃけデニーロが演じるジョニーの精神性は全くもって理解できないが、その怪演ぶりに思わず引き込まれてしまう。吹っ切れたような爽快さでラストのドライブシーンは駆け抜けるが、直後には子現実が彼らの身体を撃ち抜く。いつまでも子どもではいられない。彼らの最後は祭りの終わりを予期させる凄惨なエンディング。必死にストリートを刹那的に生き抜く若者たちを、一筋の若い目線で捉えた傑作だと思う。
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