千年女優

サマータイムマシン・ブルースの千年女優のレビュー・感想・評価

2.5
前日に部室のクーラーのリモコンを壊してしまったがために猛暑に悶えるとある大学のSF研究会の学生達。突如として目の前に現れたタイムマシンに驚く彼らが、それを使って昨日へとタイムトラベルをして壊してしまったクーラーのリモコンを取り戻そうとして起こる騒動を描いた、劇団ヨーロッパの戯曲を原作とした本広克行監督作品です。

タイムマシンというスケールの大きななアイテムを、些細な日常の出来事に落とし込む「タイムマシンの無駄遣い」というシュールな笑いを出落ちで終わらせることなく、お話の端々に配置された小道具を使って持続させしていく物語で、良くも悪くもあまりにもスケールが小さいために、それ自体に興味を惹かれる大きな推進力はありません。

ただ舞台で演じられる本作には、舞台特有の限定的な場面設定と、役者たちが現在の自分と過去の自分という一人二役を同時に演じることによる驚きやハラハラ感が上乗せされてマジカルな面白さが生まれます。では空間と時間を自在に操れる映画で舞台のそれに変わるものが生み出せたかというと、残念ながら果たせたとは言い難い一作です。
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