都部

サマータイムマシン・ブルースの都部のレビュー・感想・評価

4.0
ヨーロッパ企画の上田誠脚本による傑作SFコメディ。日本のタイムトラベルを取り巻く物語の手本にしたい程度には収まりはよく、脱力系の態度を取りながらも入り組んだ痛快な構成はよく、2000年代の夏を感じるノスタルジックな点も踏まえて、素直にいい映画だったと言える。
夏、学生、タイムマシン──特に肌に熱が吸い付くような茹だる空気感の演出が巧みで、時間軸の交差と行き来の狂騒的な雰囲気との親和性も高くて作中における空間作りに惹かれる。
現実味をスポイルするような演技は舞台劇からの由来と思われるが、本作の緩くも危機的な状況が続く雰囲気とはそれが上手く噛み合っている。脚本家の地力とそれが生み出す妙を端々に感じる一作で、隅から隅まで楽しくて良かった。終わり方も四畳半タイムマシンブルースよりこちらの方が好きだな、閉じた集団の悪ノリからの脱却そして運命への割り込みはその答えが明示されないからこそ味わいがある。
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