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ユニコ 魔法の島へのmitakosamaのレビュー・感想・評価

ユニコ 魔法の島へ(1983年製作の映画)
3.9
ユニコ続編。前作よりも晩年の手塚のキャラ感が強く表現されている印象。
ブラックジャック以降のキャラのデフォルメ顔などがそう。上を向いて大きな口を開けて叫ぶギャグ顔とかが顕著だね。
また今作は透過光を多用した80年代特有のスピード感も楽しめる。

前作に引き続き、西風さんに知らない土地に流されたユニコ。
魔法使いククルックの弟子トルビーが人間を“生き人形”に変化させて廻っている。ユニコは、トルビーの妹チェリーと人々を救い出そうと冒険する物語。

まず物語が1本の映画として、凄い上手に纏まっている。
そして程よく子供が怯えそうに不気味。人間が無表情な生き人形にされちゃうのも怖いし、ククルックのキャラもシンプルな故に不安感を煽る。
特にククルックはアニメーションの動きも縦横無尽で面白いんだよね。

人間に戻す方法を探し旅にでるユニコとチェリー。途中でスフィンクスの子マルスが仲間になり“地の果て”へ。
人間に捨てられた物達の行く末“地の果て”で意思を得た操り人形の悪役がククルックの正体。
捨てられた恨みと生まれついての悪役という設定に、愛と優しさで戦うユニコ。面白い。こういうシンプルな物語構成がとても見応えある。

しかし、放浪を続ける宿命を背負わされたユニコの物語が完結しなかったのは惜しい。願わくば3作目を造って欲しかったよ。
神々の存在を脅かす存在とユニコが戦い、神に許されて旅が終わる…という完結編があったら本当に報われたのになぁ。

子供の夢を具現化した様なファンタジー。独自の世界が堪らない。
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