スローモーション男

最前線物語 ザ・リコンストラクションのスローモーション男のレビュー・感想・評価

4.5
 ゴダールの『気狂いピエロ』に出演していたサミュエル・フラーがこう言ってた。
「映画は戦場みたいなものだ 愛と憎しみとアクションと暴力と、それから死も つまりエモーションだ」

それを具現化したのがこの映画だと思う。

第二次世界大戦、様々な戦線を渡り歩くビッグレッドワン部隊の活躍を描いた戦争映画。

 リー・マーヴィン演じる軍曹とマーク・ハミルなどが演じる若い兵士たちの熱演が素晴らしい。

 北アフリカ、シチリア、オマハビーチ、ベルギー、チェコスロバキアなど様々な戦場が部隊となり、テレビシリーズのよう。
 戦場のシーンはアクションを淡々と見せていき、戦争の呆気なさを描く。それと対比して現地でナチスに囚われていた人々と交流する部隊のメンバーの明るく人間愛に満ちたシーンも多くあり面白かったです。

 特に軍曹と子供たちとのやり取りは素晴らしい。お花で彩られたヘルメットを被る平和的な象徴。
 あと後半のナチスの子供兵士のシーンとかも。

 ノルマンディー上陸作戦のシーンは『プライベート・ライアン』に影響を与えたと思います。

 そしてラストの収容所を攻撃するシーンは悲しくなる…。

 それでもラストシーンは冒頭の伏線を回収し、人間の尊厳の素晴らしさを見せ、終わっていくのだ。

サミュエル・フラーの最高傑作のひとつではないでしょうか?