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glee/グリー ザ・コンサート 3Dムービーのvilljobbaのレビュー・感想・評価

3.5
ドラマ「glee」のキャストたちのライブコンサートをドキュメンタリーっぽく撮った映画。
だが感想の前に、gleeそのものの布教活動をしたいと思う。

ミュージカル映画が好きですと言っている割にそんなにたくさん観てるわけではないんだけど、久々に観たサウンドオブミュージックが神映画だったりした一方で、期待して観たマンマミーアやANNIEが微妙だったりした。
ビシッと決まった完璧な音楽、あるいはみんな感情を爆発させて楽しそうにやってる音楽をうまく映画で表現するのはすごく難しいのだ。
そうして素晴らしいミュージカル映画や微妙なミュージカル映画と出会うたびに毎回思う事、それが「gleeってやっぱりすげぇや」なのだ。

アメリカで2009年から放送されていた(無事完結済み)TVドラマのglee。
学生時代gleeクラブ(合唱部)のエースだったとある高校教師が、廃部寸前のglee部の部員募集をする。集まったのは変人やホモなどの"Loser(負け組)"たちだったが、かつての栄光を取り戻すために大会へ挑む、というストーリー。

観る前は、高校生たちがホグワーツもビックリなドロドロの人間模様を繰り広げで歌いまくるドラマと聞かされておりマイナスイメージが強かったが、Huluにあったので試しに観てみたのだ。
そして第一話を観て「これは神ドラマだ!」と確信した。絶対続き観なきゃ!って思った。とにかく第一話の完成度が凄まじい!先生がフィンの才能を発見した有名なシーンや、最後の例の曲のパフォーマンスシーンの感動がスゴい。

んで観ていくうちに、ドロドロの人間関係というイメージは正解であり、高校生たちが浮気しまくったり感情爆発させたりする姿を延々見せられることとなる。
ところが観れば観るほど、そのドロドロこそがgleeの醍醐味だと分かるようになってきた。
恋愛、失恋、同性愛、結婚、離婚、出産、禁断の恋、友情、孤独、死、身体障害、劣等感、出会いと別れ、感謝、謝罪、怒り、悦び、叶わぬ夢、人種差別、親との軋轢、非行、あらゆるシチュエーションを物語にブチ込んで、それを音楽で表現するのだ。全てのドロドロがミュージカルの題材になっているのだ。平和で不変な毎日を過ごすサザエさん一家が突然悲恋の歌をパフォーマンスしても視聴者は何も感じないのだから。
これらを歌うのはサザエさんではなく、個性爆発した人やホモや太った黒人や身体障害者、いわゆる負け組・マイノリティたちなのだ。でも演じているのはガチのブロードウェイ歌手だったりする!
世の中に存在する様々な悩みやコンプレックスを持つ人々に共感させ、勇気を与えるために様々なドロドロを用意している。
人間誰しも何らかの悩みを抱えているとおもうけど、どれかのエピソードに必ず共感できたり勇気づけられたりできるメッセージが見つけられると思う。

そして大事なのが!こうして生み出されたあらゆるパフォーマンスの完成度が最高すぎること!これに慣れ過ぎたから半端なミュージカルで満足できなくなってしまったんだ!
お気に入りのパフォーマンスを挙げ始めたらキリが無いけど、やっぱり一番好きなのはシーズン1の13話でレイチェルが歌ったDon't rain on my paradeだね!glee初の地区大会という大事な場面、直前までトラブル続きで観てるこっちも心配で心配で仕方ない中、演技が始まる。
そこでレイチェルがこれを歌う!散々ブッ飛んだ個性でgleeを翻弄し続けてきた彼女だけど、「やっぱレイチェルすげぇ!」って思わせてくれる!歌詞も彼女の性格にピッタリなんだ!それを○○越しで聴く先生の姿を観て涙するのだ!

「なんかミュージカル観たいな」と思っている人、思っていない人も、とりあえず第一話だけでいいから観てほしい!
宣伝してる自分も、忙しくてHulu解約したので途中までしか観ていなかったが、最近コンプリートボックスを買った。

で、肝心のこの映画の感想だけど、普通だった。
みんなが上手い歌で昔聴いたパフォーマンスを熱唱してくれるので満足なんだけど、途中途中挿入されるファンのエピソードがちょっと邪魔。最後は心に響いたけど、普通にコンサートを観たかった。
好きなキャラクターのひとりにブリトニーがいる。この人、ドラマ内では頭空っぽで意味不明な発言を繰り返す金髪ビッチなアホなんだけど、キャストたちに踊りを教えるプロのダンサーなんだよね。そんな彼女が本領発揮してスゴいダンスするパフォーマンスが時々観れるんだけど、これが尋常じゃなくカッコ良い。普段フザけてるやつが肝心な場面で本業を披露するシーンって、カッコ良い。彼女の踊りも観れたのが良かった。


フィン……
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