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約束の旅路のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

約束の旅路(2005年製作の映画)
3.8
干ばつによる飢餓で苦しむエチオピアのユダヤ人をイスラエルに移住させる特別な救出制度「モーゼ作戦」がある。エチオピア人の中には他宗教であることを隠して紛れ込もうとする者もいる。スーダンの難民キャンプからイスラエルに移住した少年シュロモンもその一人。シュロモンと同じくらいの男の子を飢餓で亡くしたばかりのユダヤ人女性に連れられ、息子と偽って出国する。

ユダヤ人らしいユダヤ人になろうとするシュロモンが痛々しい。頑張っても、イスラエルでは黒人のユダヤ人は差別される。エチオピアに帰りたくてもエチオピアに実母がいることがばれてしまうと二度とイスラエルには戻れない。シュロモンは白人の愛情深いユダヤ人養父母とぶつかりながら、自分は何者かを探そうとする。

ノンフィクションを組み合わせたフィクション。青年シュロモン役になった俳優が自分の生い立ちも含まれていると述べていた。

シュロモンのアフリカでの心の傷は深い。移住したてにシャワーの水をこぼさないようにとパニックになる。アフリカでの暮らしはあまりに厳しい。

アフリカのシーンは実際の映像を部分的に使っていて、痩せ衰え餓死していく子供たち。観ていて辛い。特典映像で監督は来日した際に、東日本震災だけでなくアフリカへも支援をお願いしたいと述べていた。それで調べました。エチオピアはたびたび干ばつが起き飢餓が常態化しているが、2022年の今年は1981年以来最も乾燥が進んでいて未曾有の干ばつが起き、アフリカの角と呼ばれる地域、エチオピア、ケニア、ソマリアで1300万人が飢餓に直面すると国連WFPが警告している。寄付することにしました。WFPかは未定です。

2007年の作品だけどアフリカの水問題を改めて意識することができて、今観てよかった。

エチオピアにユダヤ教の王国がかつてあったこと、後世も多数のユダヤ人がいること、モーゼ作戦も知らなかった。ユダヤ教の日常のしきたりも知らなかった。思っていたより厳しい。私の西洋観はほとんどキリスト教からしか得ていなくて偏りあると思った。イスラム教についてだってよく知らない。こんなに世界中で宗教による分断や紛争が起きているのに。
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