三樹夫

シャッター アイランドの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

シャッター アイランド(2009年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

物語の舞台となる精神病院に連邦保安官の主人公が捜査に来る+どんでん返し宣伝の映画とくれば、最初の段階でもしかして主人公が狂っていたというオチなんじゃねと予想がついてしまう。精神病院が舞台で実は主人公が狂ってたオチはわりかしあるあるだ。狂ってるのは主人公と決定的になるのが、洗脳がどうとかの陰謀論を話し始めた時だ。言ってることが頭おかし過ぎる。ただ陰謀論に見えて実は本当だったオチの可能性もないわけではないが、タイトルは出さないが主人公の陰謀論が本当だったという、演出力が『ローズマリーの赤ちゃん』の足元にも及んでいない負のご都合主義とでも言うどうしようもない映画を思い出すに、陰謀論が本当でしたをやっても同じくどうしようもない映画になる可能性大な上に、陰謀論が現実世界で猛威と悪影響を及ぼしている現在からすると陰謀論が本当だったオチではなくて良かったのではないか。
劇中の出来事は、妻が子供3人を溺死させ自分は妻を射殺したという現実に耐えられなくなり狂った主人公の妄想に付き合ってあげていたというとんでもないスケールの大きな荒療治なのだが、なんと主人公は正気を取り戻す。しかしラストにまた妄想を語り出すのだがこれはわざとやっており、主人公は正気に戻ったがいっそのことロボトミーを受けて忘れたいと思ったのかそれとも妻を殺した贖罪だろうか、正気に戻っていないふりをしてこの後ロボトミーを受けるだろうことが示され映画が終わる。
船に乗っている時の背景や車に乗っている時の背景が分かりやすいぐらいに合成なのだが、作られた舞台や主人公の脳内にある舞台ということを示しているのだろうか。

この映画は元々はウォルフガング・ペーターゼンが監督で考えられていた企画が、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が頓挫していた時にスコセッシに回ってきたもの。スコセッシ作品には頭のおかしい奴が出てくるから適任だと思われたのか、しかしスコセッシは病院にいるおかしな人ではなく、ストリートにいるおかしな人専門監督なので合ってないんじゃないかなと思う。後、この話で2時間越えはだめでしょ。もうちょっとコンパクトにまとまってるぐらいが丁度いいぐらいの内容だし。嵐の描写がやたら勢いよくてもはや暴力的なぐらいの嵐とか、所々『ケープ・フィアー』の時みたいなやたら過剰になってて楽しめはするが。

主人公は連邦保安官なのだが、連邦保安官は司法制度の保護が基本となり、逃亡者の逮捕や証人の安全確保を担当する。その為病院から逃亡した囚人の捜査に現れるのは理にかなっている。
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