このレビューはネタバレを含みます
スリリングでテンポ良く進むので、飽きることなく楽しめました。
なんの前情報もなく見てしまい、子どもが死ぬ場面が非常に苦手なのでちょっとへこみました。なのでスコアはちょっとマイナス…
話としては見終わったあとも、じゃああの場面はどういう意味だったんだ!?と気になることを思い出して考えるくらいハマりました。
ここからむちゃくちゃネタバレします↓
レディスが横たえたレイチェルの靴を脱がせて足をギュッとするところで、思い出し泣きをしてしまうほど胸がギュッと締め付けられました。あの仕草の親っぽさ!辛い!!
ただ、それがまた最後のレディス=テディの選択に繋がるんだろうなと。
ネタバレ考察サイトなども見ちゃったのですが、最後はやっぱり正気に戻ったレディスが、自らロボトミー手術を選択したという解釈かなと思います。
妻が病気だとわかっていたのに、見ないふりして放置した自分が、子どもを殺したようなものだ。妻のことは本当に愛していた。
と言っていたレディスは、その事実を受け入れたまま生きていく自信がなかったのでは。
そして、また以前のように妄想の世界に逃げ込んでしまう可能性、そしてその妄想の世界の中で人を傷つけてしまう可能性を恐れたのではないかなと感じました。
ネタバレ考察の中には、本当はテディが現実なんだけど、病院の陰謀で、レディスだという洗脳をしていた。最後は洗脳に失敗したからロボトミーをしたという説もあったのですが、それはちょっと辻褄が合わないような気がしました。
一番の「洗脳説、そりゃないわ」ってのは医師のレイチェルと崖の穴の中で会うところ。あの崖を素手で上り下りは無理でしょう!というのと、レイチェルってのは娘の名前で、妄想の中の女性の名前になりがちってところ。
そう考えるとその場面はすべて妄想の中なのではないかと思います。
炎と水の描写で、炎の場面は妄想、水の場面は現実という表現だったと考えると、レイチェルという医師が焚き火を焚いていたためあの場面は妄想ということになるかと思います。
疑問なのは、テディがレイチェルと会った崖から戻った際「相棒は?」と聞くと、コーリー医院長が「きみは一人で来た」と答える場面。
ロールプレイングの最中なのになんで破綻するようなこというの??
でも今になって考えてみると、それもこれもレディスが語っている妄想の中のセリフなのかもしれないですね。
陰謀論を信じ切っているレディス=テディの妄想のシナリオ通りということなのかも。
このロボトミー手術が実際に治療として行われていた時代、きちんとした治療法も確立されていなくて、精神疾患患者に対する差別や暴力があったであろうことは容易に想像ができます。
そもそもレディス自身だって、戦争によるPTSDからのアル中だったわけで、そのせいで妻がうつ病になるという負の連鎖があったのですよね。
子どもたちが死んでしまったのも、流れを辿れば戦争のせい。そして未熟な社会の仕組みのせい。
という背景も読み取れ、アメリカン・ニューシネマも彷彿させる作品でした。
バッド・エンドなのでずっしりきますが面白かった!
はー!まだまだ気になる事がポロポロと出てきます。
もう一度見たいけど、子どもが殺されるところは見たくない!という葛藤にかられています。