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鄙より都会へのzhenli13のレビュー・感想・評価

鄙より都会へ(1917年製作の映画)
4.0
被写界深度の深い超ロングと前景、手のクローズアップ、フルショットという序盤のつなぎの連続、馬群はそのつなぎを縫う運針のよう。惚れぼれする。若馬の群れを捉える超ロングと前景崖上の人物を収めるショットなど、前景で何かしてて遠景でも何かしてる、方向性のさまざまなアクションをひとつの画面に収める、というのをたくさんやっている。また超ロングから蛇行し近づく車とがちゃがちゃ蠢く男たちの切り返しも意味無く素晴らしい。暗闇の灯りに照らされたハリー・ケリーのアップはどう見てもスリラーものの悪役なのだが。ハリー・ケリーが割とイケてない役で雑貨屋で背広を新調しようとするシーンだけ明らかにスラップスティックを意識して撮られている。

物語自体はざっくりしていて、てか恋人の女性の心変わりが全く責められないのは何故?と思うも、ハリー・ケリーは寧ろ恋人の父との絆ありき、個よりも家との結婚、家とワイオミングのカウボーイたちありきの結婚と捉えている様子が伺える。「感情で動く(単純化された)女性」と「ホモソーシャルな秩序のもとで動く男性」という対比。集落に初めて持ち込まれたらしいピアノを囲んでうきうき鍵盤をつつく男たちが無音で奏でられるホームスイートホームに涙する姿にもそれを見てとれる。

ブロードウェイへ即座になだれ込み跋扈する馬群に思わずニューヨークとワイオミングの距離を調べてしまった。そしたらワイオミングがいっぱいあることがわかった。一番近いペンシルベニア州のワイオミングだと車で5時間、ワイオミング州だと40時間。省略しつなぐという映画の魔法!
このシーンは序盤からショットをつないできたものが馬群だということを強調する。ああこの舗装された道路へなだれ込む馬群と男たちのわちゃわちゃ乱闘を撮るための都会シークエンスだったんだなーと面白く観た。男たちが水の中にぽいぽい投げ込まれてじゃばじゃばしてるシーン楽しい。
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