もこもも

十五才 学校IVのもこもものレビュー・感想・評価

十五才 学校IV(2000年製作の映画)
4.2
不登校の中学3年性・川島大介はある日両親に内緒で屋久島の縄文杉を目指してヒッチハイクの旅に出る...

学校シリーズ最後の作品であり
山田洋次監督の学校シリーズ4作目
学校が舞台ではなく、不登校の少年の忘られない冒険を描いたロードムービーになっていて、深く心に響く作品やった

「学校は嫌だ
 制服を着て教室にいるだけで嫌だ
 型にはまった先生の喋り方も嫌だ
 なんで学校に行かなきゃいけないんだ
 大人になって役に立ちそうにもないことを
 なんで勉強しなくちゃいけないんだ
 お父さんにそう言ったらいきなり殴られた...」

学校に行こうとするとお腹が痛くなって
それが続いて、親に心配をかけて、
将来の不安と人間関係に悩んで、
気づくとそれは学校のせいになっていた...

なんていうか、すごい共感させられる
別に自分は不登校の経験はないけど、
もし毎朝お腹が痛くなって学校に行けなかったとしたら、全然自分もこう思うやろなぁって

そんな主人公が人との出会いを通じて
前向きに大きく成長する姿が描かれている
大阪まで運んでくれた赤井英和演じるおじさん、
九州まで運んでくれた麻美れい演じるおばさん、
屋久島の縄文杉まで一緒に行動したおねえさん、
屋久島で泊めてくれた不器用なおじいさん
それぞれが素敵な出会いで、
やっぱり世の中捨てたもんじゃない

特に麻美れいさん演じるおばさん一番好き
気さくな性格も、大介を息子と重ねて心配する姿も、家族を大切に想っている姿も、息子のことが心配で心配な姿も
あぁ愛やなぁって、素敵な人やなぁって
大介との砂浜の競争が微笑ましかった
ほんで、大介と登が仲良くなって
登が走り寄ってさよならを言いにきたことに、
渡されたパズルとその裏に書かれた詩に、
その詩に込められた意味に、
涙するお母さんにつられてめっちゃ感動した
大介が親友って言ったことも嬉しかった

この作品を観てたら常々、
冒険っていいねと思わされる
社会人の今、余計に感じるけど
自分も色んな冒険をしてきて良かった
今でも全部が深い思い出として残ってる
みたことがない景色をみたり、
知らない人との出会いがあったり、
旅をしないとできない経験があって
それは人生の大きな支えになる
大介もこの旅を忘れへんやろうなぁ

「子供扱いされるのが嫌」って大介は言ってたけど、それはやっぱり子供やから思えることであって、そう思える大介が微笑ましかった
山で1人迷子になった時の孤独感と恐怖はすごく共感できて、ほんまに「死ぬかと思った」やったね
「どんな方法でもいいから一人前にならないといけない」って縄文杉までの道でお姉さんが言ったけど、ラストでおじいさんの悲しみに気付いてあげれて、おじいさんのために怒れるたんやったらもう立派な一人前やでって言ってあげたくなった

ゆずが歌う挿入歌の『境界線』も
主題歌の『シャララン』も本当に素敵
自分にとっては『INTO THE WILD』がそうやったけど、多感な学生時代に出会えたらより響く作品やと思うから、いつか自分の子供ができたら学生時代にこの作品を手に取ってほしいな

"浪人の詩"
草原のど真ん中の一本道を
あてもなく浪人が歩いている
ほとんどの奴が馬に乗っても
浪人は歩いて草原を突っ切る
早く着くことなんか目的じゃないんだ
雲より遅くてじゅうぶんさ
この星が浪人にくれるものを
見落としたくないんだ
葉っぱに残る朝露 流れる雲
小鳥の小さなつぶやきを
聞きのがしたくない
だから浪人は立ち止まる
そしてまた歩きはじめる...
もこもも

もこもも