吉田恵輔の悪趣味なとこが全部入っていると言ってもいいんじゃないという作品。
あのね、ロドリゲスの「エル・マリアッチ」だったりティム・バートンの「フランケン・ウイニー」なんかがそうで、三つ子の魂百までなんですよ。もうこのころからこの監督は悪趣味なんだと思ってにやにや。そう、吉田恵輔は徹底的に悪趣味なんだよと改めて思わせる一作。
とにかく前半はあべこうじの軽薄でいらいらしてするんだけど、問題は後半パート。まだ見ていない人がいるかもしれないからあまり言えないけど、ここで吉田は映画的なギミックを仕掛けてくる。
その後半がもう。ああもう。若いってのに対し吉田が醜悪だろ滑稽だろ猥雑だろって感じで語りかける。若いことが素晴らしい、何言ってやがるんでぃ。若いってのはひたすらに醜悪で滑稽で猥雑で、そう「醜い」ものなんだってね。吉田、若いころ何かあったのか。
白眉は鼻血、脱がされかけたパンツ、いきなりのビンタ。あ、お風呂のシーンも気持ち悪いなぁ。この女優さん、最初めっちゃかわいいと思って見ていたのにここまでやらされるんだって見ていてドン引き。あ、吉田の性癖にもドン引き。
ただ最後は少し蛇足だったかも。ここらへんはこなれてないのよ。吉田は「空白」でも「神は見返りを求める」でも少しだけモラルに傾く(悪趣味なくせにね)。そのモラルが前2作ではうまく機能しているけど今作ではちぐはぐに感じた。その点ではマイナスです。
でも吉田監督の初期作品として十分楽しめたのでこれはありなんですよ。あべこうじのうざさとともにね。