机のなかみの作品情報・感想・評価

「机のなかみ」に投稿された感想・評価

次男

次男の感想・評価

3.9
「めんどくせえわマジで…」って思っちゃった。そう思わされたことに、自分の都合のいい感情の変遷を露わにされちゃったみたいなバツの悪さを覚えて、でもなんだろ、共犯感というか、振り返ったら「思っちゃったっしょ?」って監督がニヤついてるから、「っス」って僕も悪い笑顔を浮かべる。この感じ観たひとはたぶんわかってくれるはず。特に男。性格悪い自覚あるやつみんな観ればいい。

僕ったら、前半は一緒に欲情して、後半では一緒に清楚きどって、結局最後には「めんどくせー」って辟易としてた。この感慨狙いなんじゃねえのかなあ。二段構造どころか三段構造じゃねえかなと。他の映画だったら「考えすぎか」と捨て置くところ、吉田作品だから「やりかねん」と思ってしまう。

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ノーラン監督でいう『フォロウィング』とかみたいな、その作家性がすごい純度で結実してる処女作で、出来云々じゃなく「すげー」って感心してしまう。すげーやろ、これ。吉田恵輔映画、もうこの時点で確立してんの。すごくねーか。

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あべこうじじゃなかったらとんでもなく好きな作品だっただろうになあ。あべこうじのあべこうじさが鼻につきすぎて、もはや嫌悪で、本当にいやだった。せっかくほとんど知らん俳優だらけで構成されてるのに、ひとりだけ見たことある顔がいて、そいつが知ってるキャラクターで存在してるという不快。本当にもったいない。鈴木美生さんは本当によかった。最高に適度。


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ネタバレ
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・「リップ貸して」とか、オナニーのペンとか、細かい要素の段積み感はさすがすぎる。むしろ、「そんな丁寧に見せなくても俺わかってまっせ!ちゃんと注目してまっせ!わからんやつなんか置いて行きましょうよへへ」ってわかってるぶりっ子したくなるくらいの。

・あべこうじが残念すぎた前半だけど、露骨にフィックスにするっていう撮り方も、すこししつこい気も。質感もあいまって、無駄に意味深長な「怖さ」が出ちゃってて。『家族ゲーム』みたいな。むしろコミカルなカットバックとかで見せてもよかったのかも、そしたらもっと「あーバカな男のあるあるコメディなのねー」って手のひらで踊れた。

・時系列が追い付いたのちの、ラストのフィックス長回しはマジで絶品だった。中央で鼻血だして呆けてる彼女、まわりでバタバタする人間たち。画面は落ち着いてるのに、ハラハラハラハラ、ハラハラハラハラ。

・「あたし、がんばるから」って台詞の神経逆撫で感は、絶対わざとだろうな。あれなんなんだろうなー。「がんばるから」って言われた瞬間になにかがエグいくらい冷めるもんなー。そのせいか、シーンバック相手のあべこうじカップルにも嫌悪が伝染して、「ブスが泣いてんじゃねーよ」「もうなんかお前らずっとそうしてろよ興味ねーよ」って辛辣な暴言がふつふつ湧いて来ちゃう。
「かわいいなー」って思わされてた女の子を「めんどくせえな」と思わせ、恋愛のキラキラの側面を見せて「いいなー」って思わせといて「付き合うとかやっぱだりい」って思わせる。まんまと、だよなあ。

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性格悪いところ露わにされすぎて、もはや清々しいわ。
観直し。

鈴木美生ちゃんのお人形感に終始ニンマリしてしまう。
演技の巧い子役じゃダメなんです。
役者としてもルックスも無垢が故に、悲喜劇がより際立つ構造に、奇しくもなってる。
もちろん自主制作というジャンルでしか成立しない部分ではあるんですがねえ。

原作付きの最近の映画よりこういうテイストの吉田作品の方が好きだったりします。
T兵衞

T兵衞の感想・評価

3.7
後に『ヒメアノ~ル』や『さんかく』でより洗練される二幕構成。本作ではさほど上手く機能していない印象。監督の共通テーマ現実認識の齟齬にほとんど繋がって来なかったのも残念かなぁ。
まさかのあべこうじ主演。

勘違い男と高校生男女のそれぞれの視点から。
nana

nanaの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

「さんかく」「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督長編デビュー作品。

この監督の作風といってもいいような、前半と後半で一気に映画の雰囲気が変わってしまう面白さは最初からだったんですね。
私が観る順番は逆でしたが、この作品を経て「さんかく」で更に脚本が面白くなった気がする。

前半は「イタい」を通り越してもう苛々してくる家庭教師の男による女子高生への恋模様。
当然、吉田さんの作品なのだからこの恋があっさり両想いなんてことはないんだろうな~
全部男の勘違い&妄想なんだろうな~と思いながら観ているのだけど。
労わってほしいんだか何だか知らないけど目の前でわざとらしく疲れてるアピールをしたり、
ストレートに聞けばいいのに「彼氏と遊んだりするでしょ?」と訊いて彼氏がいるか探りしたり、
こういう男の人、実際に周りにいるなぁって。

後半、てっきり女子高生の「キモイ!」とかの心の声で、ニコニコしてたけど実は家庭教師への嫌悪感が丸出しでしたっていう内容になるのかと思っていたら、全く違うアプローチ。
むしろ女子高生にとって家庭教師の存在は本当にただの家庭教師っていうか、全く眼中にない感じでそれもそれで清々しくて面白かった。

いつまでも娘と仲良くお風呂に入ろうとしてる父親をはじめ(アメリカとかだったら即刑務所だな)、女子高生がとことん周りの男に恵まれていなくて、あれから彼女は幸せになっているだろうか…なんてふと思いを馳せてしまう。
女子高生を演じた鈴木美生さん、若い時の宮崎あおいさんに似てて、笑顔がとっても可愛かったのが印象的。

勘違いした恋に突っ走ってしまう人を、こうやって作品で客観的に観るのは痛快。
でも、自分だってきっとそう。
本人はいつだって必死。でも傍から見ればコメディなんだよね。
TOTTO

TOTTOの感想・評価

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こういう同一時間軸を反復する作品って後半が単なるネタバラシになってしまう危険性があるけど、前半のちょっとイタいラブコメから後半の心臓を抉り取られる青春愛憎劇への転換が見事で、吉田監督の映画だなあと思った。
彼氏のセックスの話をする同級生、の次のシーンが父親と一緒にお風呂に入る自分。意地悪がすぎる……
最後部屋に集結するシーンでは、個々で成立してたはずの色んな人間関係が一気に混ざり合って混沌とする様子が心地良かった。
RYUYA

RYUYAの感想・評価

4.0
「無垢でキラキラしたJKに恋しちまったおしゃべりクソ家庭教師の、ちょっぴりエッチな恋物語」
俺がBOOKOFFの店員だったらこんなクソ映画、店の前のワゴンセールのジャンクロードヴァンダム映画の隣にブチ込むね。
誰にでも書けるようなセリフに、演技も素人クサくて、FIXだらけの代わり映えのない構図にヘドがだらだら。
映画をバカにしやがって。
マジふざけんな、と、思っていた...



タイトルが出て、後半に入るまでは。

してやられたの一言。
前半の面白さをまるまる犠牲にしたその大博打は、見事ボロ勝ち。
おバカな恋物語は、男女の真を突く濃い物語へと変貌。

「ある仕掛けの為に前半をわざと下手に撮る」といえば近いところで言うと行定勲の『ピンクとグレー』が印象的だが、僕はアレはクソだと思っていて、結局どっかでカッコつけてねーかお前・感がダダ漏れで、下手クソにするのも下手なキモロン毛監督が撮ったいけすかねぇ映画っていう悪印象しか残らなかった。挙句、カッコよく見せなきゃいけないはずの後半がもう最悪で。モノクロにしたりよくあるセックスシーンを入れてみたりが、もう最悪で。「お前がカッコイイと思ってるそれ、超ダセーよ」の一言。

なぜピングレを引き合いに出しボロカスに言ったかというと、『机のなかみ』を観ていて、まぁしつこいくらいにピングレ脳内プレイバックが起きたからで。
そして全部、吉田恵輔が勝利していたから言いたくなって。

『ピンクとグレー』と『机のなかみ』と、あ、『犬猿』も。
この3つの共通点は、「その時代の、ある種の日本映画をバカにしている」という点。
ありきたりな青春映画、ありきたりな自主映画、ありきたりな恋愛映画をそれぞれ自ら「こうだろ?」とやって見せてバカにしている。
そして「違う、こうやるんだ」と気づかせようとする。
でも、その"やり口"が吉田恵輔は非常に大胆で巧く、悪びれず図々しく真似るも、なぜか愛らしいというのに対し、行定勲はただ悪意を陰湿にぶつけているような気がして、なんかイヤになる...

例える。
役者界の"面白い人"が芸人のギャグを真似て愛想笑いをとって調子こいてるのと、フジモンが全部分かっててめっちゃ後輩のギャグパクってるのとではどっちが上か。わからっしゃい。
happy

happyの感想・評価

3.8
自分が泣かせた女の子の涙に誘われて目を滲ませるダメ男の画が心に響くものありました
baba

babaの感想・評価

5.0
あべこうじの彼女が一番かわいいと思った。
外から見ないとわかんないもんなんかね。

あと、所沢じゃん!!
ってなった。
ブックスタマじゃん!!!
通ってた!!
ってなった。

吉田恵輔は最高である。
Tyga

Tygaの感想・評価

3.6
あべこうじの軽男っぷりを楽しむ映画かな、と思ったところから、中盤のタイトルで一気に映画を戻される。

同じ時間軸を2度描くとどうしても手品の種明かしをされている感覚が出てくるのだが、前半の覗き込むみたいなカメラワークのお陰で種明かしをされているというよりは、見えてこなかったところが見えてくるという感覚になる。
というか、中盤は前半の内容を忘れて見ちゃうほど。

ボールペン。
バッティングセンター。
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