再視聴
映画そのものが無限の夢の渦で、見終わったあともまだ夢の中にいるような感覚に囚われる。
夢と現実が混ざり合うシーンの切り替えがとにかく鮮やか。
特に、エレベーターやスクリーンを使ったトランジションには驚きと喜びしかない。見ているこちらも「これがどちらなのか」を問う必要すら感じなくなる。
登場するモブやキャラクターたちの動きが不気味で可笑しく、でもなぜか懐かしさすらある。パレードのシーンなんてその象徴で、狂気じみた明るさとリズム感が中毒的だった。
主人公たちの内面が夢を通じて映し出される描写にグッときた。アツコがパプリカになること、そして「パプリカはアツコでありながらアツコではない」という感覚に、夢の多層性や人間の二面性が絶妙に表現されていたように感じる。
あとやっぱ音楽が素晴らしすぎる。あの電子音のリズムが映画全体の夢遊感を作り上げている。
夢を巡る冒険の果てに、「自分と他者」というテーマをまっすぐ描ききった作品だった。見終わったあと、まるで夢から覚めたような安心感と、まだ夢を見ていたいような寂しさが混ざり合う、不思議な映画体験だった。