まる

ハンニバルのまるのレビュー・感想・評価

ハンニバル(2001年製作の映画)
4.7
羊たちの沈黙の続編。

全編通じて映像が美しい。そして音楽もクラシックで美しい。

レクター博士は確かに悪だし、殺人鬼なのだがさまざまな犯罪者と比べても圧倒的に格がちがう。
理知的で教養深く礼儀正しく強く、そして恐ろしい。
人を殺すことを厭わずピアノでも弾くように殺す。でも殺し方も一種の美学を感じる。

ハンニバルという作品の魅力は何よりもレクターとクラリスの関係性だ。
いわゆる男女の関係ほど甘いものでもなく、親子のような暖かな関係でもなく、患者と医師というには距離が近すぎる。
互いへの敬意は言うまでもなく。
レクターはクラリスを貶め嘲る者を決して許さない。そしてクラリスを守ろうとする。
レクターは彼女を高潔だと思っているようだ。強欲な人間は然るべき死を与えていた。
クラリスは警官としてレクターを許さず捕まえようとするが、彼女は世界的犯罪者であるレクターを他の誰よりも信用しているふしがある。

この奇妙で美しく倒錯的な関係性がたまらない。ほかの作品でもなかなかないだろう。

羊たちの沈黙がとても良かったのであまり期待はしていなかったが、期待の上をいった。

グロシーンはラストはまぁまぁ、前半はそんなにだ。犬は死なない、安心。

ハンニバルシリーズを見ているとどんどんレクター博士を好きになってしまう。やばい。
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