コーカサス

愛は静けさの中にのコーカサスのレビュー・感想・評価

愛は静けさの中に(1986年製作の映画)
3.6
“愛はここにある”

大学を卒業し、片田舎の聾唖学校に赴任したジェームズ(ハート)が、そこで出会った聴覚に障害を持つサラ(マトリン)と恋に落ち、真実の愛へ辿り着くまでを描いた心打たれる物語だ。

マーク・メドフのトニー賞受賞舞台戯曲「小さな神の作りし子ら」を、女性監督であるヘインズが、彼女ならではと云って良い繊細さと大胆さを兼ね備えた瑞々しい描写を巧みに用いたことで、単なるメロドラマに終わらず、秀逸な人間ドラマとして見事に描き切った。
特に深夜のプールでひとり全裸で泳ぐサラの姿は美しく、彼女(聾唖者)の世界(孤独)が、音のない水の中から静かに伝わる秀逸なシーンとして強く印象に残る。

尚、本作でアカデミー主演女優賞を受賞したマトリンは実際の聾唖者であり、実生活でもハートと結ばれるも後に破局、2021年には同じ聾唖者を題材にした映画『コーダ あいのうた』で主人公の母親役として出演している。

135/135 2023