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尼僧物語のevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

尼僧物語(1959年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【Congoで看護🙃】

有名医師を父に持ち、自身も看護師であるGabrielleは、ベルギー領コンゴでの奉仕を夢見て、修道院の門を叩く。

「清貧、貞潔、従順 (poverty, chastity, and obedience)」というカトリックの掟を実践する日々が始まり、Sister Lukeという名を授かるが、自我の強い彼女は、疑問を持たずあらゆる命令に服従しなければならないことに内心激しく葛藤する。

試験落第や精神科病院勤務など、不本意な指示が続くが、無事に最終誓願を立て、ようやく念願のコンゴに到着。舟の連絡や登校の合図には独特の打楽器をリズミカルに叩き、少子化とは全く無縁!の生命感溢れる環境に胸を躍らすのも束の間、予想外にも白人専用病院へ配属されてしまい、現地人や動物と絡みたくて仕方がないGabrielle はまた失望する。

この異動は、教会の視点だと従順を学ぶ「神の試練」となるのでしょうが、第三者からすると、優秀な看護師は白人のために働いてもらおうという人種主義的決断にも見えました。

それでもコンゴに残りたい。どういう訳か、何が何でもコンゴにいたい。GabrielleのモデルであるMarie Louise Habetsのその後を知ると、修道院はコンゴへ行く切符であり、彼女の元来の希望は、海外で看護師として働くことだったのかなと思いました。修道女と看護師の両立はしんどそうでしたが、信仰と医療なら信仰を優先しなければならない中で、コンゴだと祈りの鐘が鳴っても、彼女の望み通り看護業務を優先しやすそうでした。

しかし帰国は避けられず、WWIIが始まり、ベルギーはドイツに占領される。戦闘の描写は音のみでした。
同僚を殺したコンゴ人は赦せても、父親を殺したドイツ人は許せない。
修道生活はGabrielleを苦悩させるばかりで、最後はやはり清々しさより敗北感が滲みます。外界で新たな奉仕を開始するにあたり、教義が心の支えとなるのか、出て行く彼女の足取りから推察するほかありません。

精神科病院の水治療室?はまるで地獄の釜茹でのようなホラー演出だし、ハンセン病の村のシーンもおどろおどろしい音楽が流れて、当時の解釈やイメージが反映されているようでした。実際のハンセン病患者さん達が映されていました。

ワンちゃんとお猿さんが可愛いかったです💕

コンゴ人を慈しみ、レジスタンスに協力するGabrielleの姿は、演じるAudrey自身と重なります。尼僧姿が一層美貌を引き立てていました。翌年の ”The Unforgiven” で落馬したAudreyを看病したのがHabets本人というのは、やはり今作が縁なのでしょうか。

修道女と看護師、どちらか一方だけでも充分大変でしょう。葛藤や挫折からどう立ち直るのか、何かヒントが見つかるかと鑑賞しましたが、自分がまだまだ私欲まみれの下等生物だと気付かされただけでした。ヒロインの志が高すぎて参考になりませんでした。

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Wikiによると、Marie Louise Habetsは、1926年、20-21歳の頃修道院に入り、1933-1939年までコンゴで勤務、1944年に修道院を去りました。Battle of the Bulgeの負傷兵を手当てしたとのこと。
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