Ren

ハリー・ポッターと謎のプリンスのRenのレビュー・感想・評価

2.5
【ハリー・ポッター初心者日記⑥】

ここに来て完全に失速した感がある。観切るのがかなりしんどかった。ざっと調べるとシリーズの中でもワーストに挙げられることが多いようなことが分かり、その通りかもなと思った。

第一に画面が非常に暗くてとても疲れた。劇場で観なかった自分が悪いのかもしれないけど、意味無く観辛いのはやめてください。仮にも物語のトーンが暗いから画面も暗くしようと思ったかもしれないけど、そんなことで集中力を削がないでほしい。

この監督は話を推進させる気が無いのか。前作『~ 不死鳥の騎士団』も大概だったけど、あれは話が止まっている時間も含めて映画全体を「大人vs子どものジュブナイル」としてパッケージしていたのでまだ意味は分かったし観ていられた。でも今作はそうではない。

大ベタ三角関係恋愛が始まればそりゃ自分みたいな『~ 炎のゴブレット』のパーティーに大興奮していた人間は喜ぶし、「男の子/女の子って素直じゃないんだから〜」とキモい目でニヤニヤしながら観ちゃうけど、本筋を放棄してまでそこに労力を割く意図は見えなかった。マグルの世界は?マルフォイは?スネイプ先生は?ヴォルデモートの脅威が迫る中で明らかに捌かなければいけない事象が他にある中、そのメインストーリーを止めてまでそれをやる意味は?
『~ 炎のゴブレット』の恋模様は、対抗試合というメインの軸があった上でその隙間を埋めるための学園生活描写なので、今作とは立ち位置から違う。

ハリーがマルフォイと対峙した辺りからはっきりと動き出した感はあるけど、遅い。その溜めを回収するだけのスペクタクルも無く、話を纏めないのも不誠実だと思った。明らかに次回作への繋ぎのための作品。前作まではまだ、シリーズの中の一作ではあるにしろ単体で締めようという姿勢が見えたぞ。

あとは自分がこのシリーズに対して感じていた明らかな欠点がピークに達したとも思った。選民思想が物語の根幹にあることがどうしても苦手だ。今作においてハリーが選ばれし者であることが改めて明記された。彼は宿命として背負った被害者であって選ばれたヒーローではないという見方もあるが、結局彼が生まれた瞬間から主人公であることには変わりない。

その他、
○ 結局、選ばれし者は僕のことかなと調子に乗ったハリーをハーマイオニーが引っ叩くのシーンが今作のハイライト。図に乗ったお調子者がちゃんと突っ込まれるシーンが好き。
○ 冒頭のロンドンの橋が崩壊するアクションはこのシリーズにしては新しくて良かった。
○ そういえば逆転時計って無かったことになったんだっけ?使えばいいじゃんと思ったシーンが幾つかあったぞ。
Ren

Ren