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ドゥ・ザ・ライト・シングのこまちのレビュー・感想・評価

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)
4.2
ドゥザライトシング、正しいことをしろ。
言葉ではこんなに単純なのに、そこに含まれる深い意味を痛感させられる。

黒人差別を禍々しく描いているというより、人種が違うというだけでだけで対立する人々の醜さを客観的に捉えているように感じた。
と同時に、本当にささいな発言、行動から簡単に暴動に発展してしまう恐ろしさと、鎮火してしまえば途端に消え去り何事もなかったように日常が戻る虚しさもある。

これが各々のright thing、正義を振り翳した結果でありそれぞれが当然のことをしただけ。
でも衝突してしまうのは、誰かのright thingはまた別の誰かのbad thingだから。


差別を受けてきたという歴史プラス自分たちが実際受けている差別に対する鬱憤、悔しさから、ムーキーたちは他人種にたてついたりろくに働かずいつも挑発的な態度をとり、それによってまた相手も苛立ってより溝が深まるっていうひたすら負のスパイラルに陥っている気がした。

白人側も無意識下で差別的な気持ちがあったりそういう発言をすることもあるだろうし、黒人側も白人に差別的感情がなくてもそういう目で見られてると思ってしまっていることもあるだろうし…黒人白人に限らずどんな場所においても起こることだが、、
人間って難しいな…語彙力がなくて何とも言えないけど、このちょっとした歪みから生じてしまうとてつもない悪循環ってどうにかして断ち切れないものなのか…

誰しも自分の特徴や個性がコンプレックスなることもあるし、それを誇りにすることもできる。とはいえ、「私たちは〇〇だ」と主張しすぎると逆に周りを突き放すような態度と取られて、保守的にもなってしまうし難しい…


映像作品としてもおしゃれで、時代やカルチャー、人種など今にもつながる様々なテーマについて考えさせられる作品だった。
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