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ドゥ・ザ・ライト・シングのucandoitのレビュー・感想・評価

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)
5.0
1989年 スパイク・リー 監督・脚本

灼熱のブルックリンを舞台とした群像劇。
地元ラジオDJが狂言回し(え、サミュエル・L・ジャクソンだったのか)。
貧困と暑さで住民のフラストレーションが高まる。
黒人街での人種間の共存と対立。
黒人、イタリア系移民、韓国人、プエルトリコ。
弱者同士の潰しあいに発展。
警官によるチョークホールドが悲劇を招く。
非暴力主義のキングと暴力容認のマルコムXの言葉で締めくくる、30年経っても変わらないやり切れない、そして暑苦しい現実。
しかし黒人ヒップホップカルチャーをコミカルに描いていて必ずしも悲惨ではない。
そして簡単に扇動され暴走する黒人を描くスパイク・リーはリアリストです。


備忘録(ネタバレ)


* ムーキー - スパイク・リー:グータラなピザ配達人。ティナとの間に男の子。最後にキレて恩のあるサルの店の破壊、略奪、放火のきっかけを作ってしまう。スパイク・リー32歳の作品で出世作。
* サル - ダニー・アイエロ:レオンの心優しいボスの人。昨年亡くなったようだ。イタリア人のピザ店主。25年間黒人街にいて今の生活に満足している。しかしついにカッとなり悲劇を招いてしまう。給料を受け取りに来る能天気なムーキーとのラストシーンが印象的。スパイク・リーとW主演。ブラボー!な演技でした。
* ダー・メイヤー - オジー・デイヴィス:ヨレヨレの浮浪老人。マザー・シスターに薔薇を贈る。交通事故に遭いそうになった子供を助ける。いつもビールを飲んでいる。メイヤーというあだ名通りこの街の良心の象徴。
* マザー・シスター - ルビー・ディー:オジー・デイヴィスとは夫婦だったようだ。二人とも鬼籍。
* ヴィト - リチャード・エドソン: サルの長男でブルックリンの黒人街から出られないことにイライラしている。黒人嫌い。
* バギン・アウト - ジャンカルロ・エスポジート:白人嫌い。壁の写真がイタリア人だけなのに腹を立てサルの店をボイコットしようとする。アーマッドとスマイリーを扇動してサルの店に押しかける。我慢をしていたサルが切れ乱闘になってしまう。
* ラジオ・ラヒーム - ビル・ナン:大きなラジカセを持ち歩く大男。音を消せと言ったサルに腹をたてる。
* ピノ - ジョン・タトゥーロ: ヴィトの弟。兄ほど黒人嫌いでない。
* ML - ポール・ベンジャミン他:3人組でたむろしている。動き回る人々を定点観測(マザー・シスターと同じ立ち位置)。
* ジェイド - ジョイ・リー:ムーキーの妹。目の大きい美人でサルのお気に入り。ムーキーは心配している。
* ポンテ巡査 - ミゲル・サンドバル:黒人嫌いの警官たち。暴れるラジオ・ラヒームを押さえつけるがチョークホールドで殺してしまう。
* ミスター・セニョール・ラブ・ダディ - サム・ジャクソン:ラジオDJ
* ティナ - ロージー・ペレス:プエルトリコ系でムーキーの子供を産み育てている。冒頭でパブリック・エネミーの「ファイト・ザ・パワー」に合わせヒップホップダンスを披露。
* スマイリー - ロジャー・グーンヴァー・スミス:吃りで公民権運動家の写真を売って歩く。知能も低いようで店に放火。そのあとに黒人の写真をサルの店の壁に貼る。
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