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ワーロックのodyssのレビュー・感想・評価

ワーロック(1959年製作の映画)
3.8
【男たちの微妙な友情】

数年前にBS録画にて鑑賞しましたが、最近同じくBS録画にて再鑑賞する機会がありました。

町の人々が時々襲ってくるならず者集団に悩まされている。
連邦保安官補も、町の人々の協力が得られないこともあり、ならず者集団に追放されてしまう。
町の人々は話し合って、連邦保安官補(つまり公務員)ではなく、強いと評判の男を町独自に保安官として雇うことにする。ちなみに中盤のシーンで、遠い町にいる連邦保安官は月給100ドルなのに、町が独自で雇ったこの保安官は月給400ドルと言われています。そしてこの町に公務員として派遣されてくる連邦保安官補は40ドルとも。
やってきたのがクレイ(ヘンリー・フォンダ)、そしてその友人のモーガン(アンソニー・クイン)。
モーガンは飲み屋を開き、或る晩そこにやってきたならず者集団を新しい保安官クレイがものの見事に撃退する。
しかし、ならず者集団も黙って引き下がってはおらずに・・・

この映画はいかにも西部劇らしく作られています。
決闘シーンは中盤にありますが、最初の対決シーンではクレイは銃を構えるだけで発砲はせずにならず者集団を追い出してしまう。ここのシーンでのヘンリー・フォンダのカッコ良さと緊迫感が見事!

しかし、中盤以降はならず者集団の一員だったリチャードが彼らから遠ざかり、新しい連邦保安官補に就任したりとそれなりの展開があるのですが、むしろクレイとモーガンの微妙な友情がこの映画の重要なポイントになっているように思われます。

詳しくは省きますが、この映画、二人の微妙な友情によって優れた西部劇に仕上がったのだと私は感じました。

ラスト近く、友を失ったクレイが弔いをするかのように建物に火を付けて、平和主義の正論ばかり言って何の役にも立たない爺さんの判事を蹴飛ばすシーンは、一種爽快でした。

町の住人も、最初は烏合の衆だったのが、最後は保安官補に協力してならず者たちを撃退するところはいいとして、どこか最後まで俗悪な性格が抜けないような気がします。その意味でこの映画は、「大衆論」になっているようにも思えます。その意味でやはり有名な西部劇の『真昼の決闘』に似ています。

主役クレイを演じるヘンリー・フォンダは、この13年前の『荒野の決闘』(愛しのクレメンタイン)ではワイアット・アープ役をやったけれど、風格が足りなくてどうかという感じだったのですが、この映画での彼は抜群にいい。やはり男優は年齢を重ねないと風格も出てこないのでしょうか。ちなみにこの映画に出た時の彼はすでに50代前半。『荒野の決闘』では41歳になるかならないかでした。
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