このレビューはネタバレを含みます
終始、不味い泥を間違えて口にしてしまったような気持ち悪さがあった。なかなかその存在の意味がわからなかったが、燃えるトタン屋根を見てふと思った。
息子に対する母親の異常な愛が、奇妙なほどに空振っている、気持ち悪さ。社会の不条理さ。
トジュンは多分自閉症なのだろう。母親もある種その兆しがあるのではないか、という言動が多々ありこちらが心配してしまうほどだった。母親役の女優さんの狂気じみた笑顔が脳裏から離れない。
普通なら美味しそうに見える食事シーンも、ポン・ジュノ監督にかかれば、こうも生々しく気持ち悪く見えてしまう。こんなにも酷く惨い結末になってしまう。私たちは実際にあるだろうことを見ようとしない、でも社会のどこかで確かに起こっている問題を突きつけられ、心が沈んだ。『パラサイト』でも感じたけれど、一体私は何ができるのだろう。辛い。