とら

母なる証明のとらのレビュー・感想・評価

母なる証明(2009年製作の映画)
3.0
そこまで見るべきショットはない。
夕焼けの中を走るバスの中で踊るおばちゃんらのラストシーンと、犯行シーンくらいでないだろうか。

冒頭の、道向こうでのベンツのひき逃げから始まって、隔てられた先での場面が多い。犯行シーンはガラスを隔てて、ラストシーンもまたバスを隔てている。

途中、誰も信用してはいけない、という台詞があるが、その一言だけで、彼女が最後までひとりで警察ごっこを続け、途中警察を頼らなくする、ということを有耶無耶にできているかは謎だ。というのも、彼女の行動原理は手近にあるもので代用する、に近くて(ゴルフクラブを覆う手袋や、写真店のおばちゃんにも働いてもらったり)だったら知り合いだった警察のおっちゃんに頼んでも、、とならないでもない。

ところで、韓国では日本以上といわれている母系主義というテーマとは別に。ケータイという文化を切り取っているのがなんだか良い。無音で、撮られてしまうこと。その今はある程度当たり前になってしまったそのことの、けれど当時あったであろう薄気味悪さが、まだこの映画には残っている。
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