Kaji

母なる証明のKajiのレビュー・感想・評価

母なる証明(2009年製作の映画)
4.5
 母親の業というか母性がどんどん呪いになって、過保護になり自滅していくのがほんとにゾクゾクするし、ウォンビンの役どころが所謂「Holy fool」のように暴いてはいけないものをどんどん剥き身にしていく展開もゾクゾクに拍車をかけていく。
知的障害という設定は考え抜かれたものと察します。
囲いすぎるあまり、得体の知れない部分を直視できない母親が息子の事件を解明しようと進めば進むほどに「そうであるはず」と思っていた像が崩壊して、根本的な愛情の柱が壊れていくなんて恐ろしいですし、観たい部分だけを愛していた、都合のいい解釈を愛情だと取り違えていた、ってとこがどんどん暴かれていく。
キムヘジャオンマの自己愛の瓦解が繰り広げられる残酷な様にポンジュノって監督の底知れなさを感じました。
女子高生の非行や携帯電話と言った伏線と小物使い、暗闇の不気味な表現、チング演じるの友達もキムへジャオンマを救済するものではなく、ラストの虚脱感たるや凄まじいものがありました。

ポンジュノのジャンルを揺らしつつ、真理や批評性を取り込む手腕には脱帽です。


蛇足ですが、ゴルフ場で高級車のミラーを壊すシーンが最高です。

2021.7.13 再見
何回目か忘れたけども、あのウォンビンが携帯パカパカするとことドライバー持って逃げるとこ息できない。
クァクドウォン出てたし、中学生役の俳優たちも今ドラマで良く見かける。
キャスティングがビシッとハマってて。
見た本数が増えて、食事のシーンが他の作品と構図一緒でポンジュノ監督の妙なこだわりが見えてきて、やっぱり初見とは味わいが違った。
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