あさ

母なる証明のあさのレビュー・感想・評価

母なる証明(2009年製作の映画)
4.7
息を飲んだ。

-ネタバレ含むよたぶん-

冒頭の薬草を切るシーンしかり、「よそ見してたら指切るよ!」と観客の焦る気持ちと、車道で遊ぶ息子を見る母の焦る気持ちが重なり合う。のっけから翻弄された。

トジュンのことを「鹿みたいに綺麗な目をしている」と称した言葉が頭からずっと離れなくて、どのシーンも彼の目を見つめてしまった。お薬?を飲ませながら、アスファルトには立ちションが流れていくシーンも、なんてことないのに面白い。

知り合いのセックス現場を目撃してしまうシーンの気まずさも、観客とオンマが共有するあたり『パラサイト』思い出しちゃったな。

クライマックスの殺人シーンも、ハッと息を飲む瞬間にはもう遅い。駄目、と思わず声を出したくなる。2人がやってしまうとわかってしまう。ぐうの音。

なくしちゃだめでしょと焦げた鍼の缶を渡すトジュンの目が、何も知らない真っさらな瞳にも見えるし、何もかもを知っているようにも見える。苦しい。夕焼けをバックにバスの中で踊るラストシーン。太腿に鍼を刺す。ぐ〜っ。

ポンジュノ作品はまだ3作目ですが、これはかなり来たな〜という感じでした。素晴らしい。『殺人の追憶』しかり、警察っていい加減。
あさ

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