BK477

スターシップ・トゥルーパーズのBK477のレビュー・感想・評価

4.0
バーホーベン監督の大傑作の一つ。

なぜか1作目のみディズニープラスにあるので十数年ぶりに視聴。

人類が宇宙に進出したら”先住民”のエイリアンに反撃され戦争になる話。
自分達が侵略者側にも関わらず、大義名分を掲げて戦う人類。
それに踊らされる若者達の青春劇。
この構成が実に見事であり、プロパガンダ映画の様相を呈した反戦映画なのだがバーホーベンの悪趣味(グロ描写)全開もありエンタメ性も抜群。

エンタメ性とメッセージ性を両立した、なかなかの傑作だ。

映像面では、バーホーベン節炸裂で、バラバラ・グチャグチャに切り裂かれた惨殺死体がこれでもかというほど登場し、そのへんのスプラッタ映画や戦争映画も真っ青な凄惨さに目眩がする。(ゴアマニアはたまらん!)
一瞬しか写らないのに、あの死体達の造形は本当に狂気的なこだわり。

敵の"バグ"はほぼCGだが、97年とは思えぬしっかりしたCG。宇宙船のディテールとか、壊れる様もすごいし、バグもバグで、バラバラ・蜂の巣になりながら、文字通り特攻兵として最期のさいごまで人間を殺そうとする。この殺意・生命力には圧倒される。

人間とバグがお互いズタズタになりながら凄惨な死闘を繰り広げるが、この映画の先にどんな未来が待っているのだろうか? そして、最後に立っていた勝者に、一体なにが得られるというのか? それは、そこまでして得る価値があったものなのだろうか?


なお冒頭の学校のシーンはさらっと、教師がこんなことを教育している。
「暴力では何も解決しないというが、圧倒的暴力の前では殺されるだけ」
一部その通りで敵意をもった国や敵対者は、抵抗しない者に容赦しない。

極端な例では対話が通用しない、凶暴なクマ(OSO18)の事件もそうだろう。 原因を作ったのは人間のはずだが、だからと言って野放しにもできず、森に放しても再犯するだけ。刑務所に入れる訳にも動物園にも入れられず(飼育員が殺されてしまう)、最後の手段として殺すしかなかった。

人間であっても極端な例では通り魔やスクールシューターなど、誰かを殺傷しようとしている者の前では、無抵抗な者から真っ先に殺されていく。こういう輩はほとんどの場合対話は通用せず、銃をもった警察が制圧するしかない。(日本の通り魔事件でも、説得で犯人を止めたというニュースはまずない)これが暴力による解決である。

なので「暴力で解決できること”も”ある」が正しかろう。
だからと言って学校で「暴力は全てを解決する!」と教育するようでは世も末であり、そんな世の末、ディストピアがこの映画の世界。

余談1
地球に隕石をぶつけて攻撃してくる敵対者なんて、まさにヤマトのガミラスではないかと思うが、私は原作を読んでいないのでどちらが先かわからない…

余談2
本作の作曲家はロボコップと同じ人とのことで、テーマソングはロボコップとだいぶ似ているというか、ワンフレーズ使いまわしだったりするw
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