23世紀、民主主義崩壊後、統一政府下で退役軍人が「市民」として優遇される地球。裕福な「庶民」の家庭に育った男子学生で、戦艦操縦士を目指す恋人カルメンを追って超能力者のカールや彼に惚れるディジーらと軍に入隊したジョニー・リコ。過酷な機動歩兵隊に配属されて昆虫型宇宙生物バグズとの死闘に臨む彼の姿を描いたSF映画です。
紆余曲折を経てエド・ニューマイヤーがSF小説の大家ロバート・A・ハインラインのヒューゴー賞受賞作を原作に書き上げた脚本を『ロボコップ』や『トータル・リコール』を成功させたポール・バーホーベンを監督に据えて映画化した1997年公開作品で、公開時は賛否両論に分かれましたが後から徐々に再評価されてカルト的人気を得ました。
SFバトル・アクションをビバリーヒルズ高校白書で描くというエンタメ大作として単純化されたコンセプトに対し、それをプロパガンダ的に描くという皮肉でバーホーベンらしさをにじませます。効果的な特殊映像と演出とで盛り上げて高揚を誘いつつ、一見すると溌剌とした結末の末に人と虫の何が違うのかと問う皮肉を感じさせる一作です。
