がちゃん

地獄の黙示録のがちゃんのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
4.8
本作は、ディレクターカット版や特別完全版などいろんなバージョンが存在し、いずれのバージョンも劇場観賞していますが、その中でも1980年の春に観賞した“不”完全版が一番好きだ。
いろんなトラブルに見舞われスケジュールが延期に次ぐ延期になり、監督コッポラ監督自らの迷いがそのまま作品に現れており、それにより本作の持つベトナム戦争の欺瞞というテーマが強調されることとなったから。

後に公開されたバージョンでは、わかりやすくはなっているが説明的過ぎて、オリジナルの持つ観客に委ねるイマジネーションの洪水が感じられない。
ボートで川を上るウィラードたちの旅は『2001年宇宙の旅』での神に近づこうとするボーマンたちの旅と比肩しうる壮大なる神秘への旅だ。
本作に否定的な映画ファンも、ギルゴア中佐が空の騎兵隊でベトナムの村を襲撃する場面には脱帽するだろう。
とてつもなく恐ろしい殺戮場面だが、このシーンは商業映画としての見せ場であり、反戦映画の欺瞞を強烈に印象付ける。
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