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悲情城市の遊のレビュー・感想・評価

悲情城市(1989年製作の映画)
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まったく衒いのない、時系列のいじくりもない淡々とした語りで戦後の台湾史とその中で翻弄された家族を描く160分
唯一大きな演出効果の依りしろとなるのがトニー・レオン演じる聴覚障害者の文清
 
欧米の歴史映画は「歴史をつくっていく/政治を担っていく」ほうの視点で葛藤が描かれることが多い印象があるけど、中国だとエドワードヤン然りチェンカイコー然り「運命の流れに巻き込まれる市井の人々」がよく描かれる気がする
そこには国民主権を掲げて国民が自分ごととして近代国家を築き上げてきた自負のある欧米と、1912年まで数千年間ずっと王朝が続いた果てに蒋介石・毛沢東〜の独裁のもとに動いてきた中国のちがいがあるのかも

音楽も素晴らしかった 観終わったあといろいろ考える時間を長く延ばすためにも深い余韻をもたらす美しい音楽がありがたい

去年大々的にやってたホウシャオシェン特集にことごとく行きそびれてしまったので、少しずつDVDを確保して観ていく プレミアついてるこの作品を買っといてくれた品川区の図書館ありがとう
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