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アバウト・ア・ボーイのmatchypotterのレビュー・感想・評価

アバウト・ア・ボーイ(2002年製作の映画)
3.9
90's〜00'sのトレンディ代表、ヒューグラント。

そして、この映画何度か観てるけど初めて気付く。この子役、ニコラスホルトではないか。『X-MEN』『トールキン』、最近では『ザメニュー』の彼。これで映画デビューしてるのか。

ニコラスボルトの原点であることと、この映画でヒューグラントが演じるどうしようもない独身男が同世代だったことで、今までで1番楽しめた気がする。

どうしようもない気ままな独身男。親の遺産で生きてる無職の男。
いわゆる「結婚は墓場だ」的な極端な思想を貫き、人間関係も真剣に考えず気ままに過ごす。

気ままに過ごすどころか、シングルマザーは付き合いやすいとか言って、適当なシングルマザーに声をかけてひと時を楽しむ、みたいな人生を謳歌したいけど完全に方向性を誤ってるクソヤローみたいな男。

今回も適当にシングルマザーを狙いにシングルの集会に行ったことで、とんでもない“クジ”を引いてしまう。

ただただ適度な距離を保ち、嘘を並べ立てながら、関係を作っては、潮時だと思えば手をひく。
親族からはやれ所帯を持てだの、自己中だの、真面目に生きろだの、彼からすれば余計なお世話のお節介。
やりたいようにやりたい。何がしたいのかわからないが、気が済むようにしたい、そんな男が。

そんな生活から無理やり連れ出される、1人の他人の子供に。
彼にとっては今まで守り抜いてきた生活と価値観を脅かされる一大事だが、強かな子供にぐいぐい食い込まれ、今までの生活がめちゃくちゃになっていく。

そのめちゃくちゃが、彼に新しい風を吹かす。

一方でこの子供、マーカス、ニコラスホルト。
親がワケありで少し病んでるシングルマザー。
見た目もやや個性的でもあることと、趣味も価値観も年相応の子供でない擦れた子供。

2人の脳内自問自答と関係性ががめちゃくちゃ良い映画。
30代後半の男と、10代になって間もない男の子がお互いの人生をひっくり返しながら徐々にシンクロしていく話の流れがとても素敵な映画。

この2人がお互いの私生活のために徐々に結託していく。
しかしそれはそれで都合良くお互いの存在を利用し、お互いの生活を軌道修正するために“新たな嘘”で作り上げていく。

それは新たな人生の冒険であると同時に、その嘘がまた別の破綻をもたらす。
しかし、それら全てが彼らにとっては自分の殻から飛び出す苦悩と変化と挑戦の日々になっていく。

それでも2人とも何かを変えたいと思い始め、これまでの人生と価値観では先はないと思い始める。
彼にとってマーカスはそんな良き存在となり、厄介者だったはずのその良き存在と一緒に成長していく。

臆病な大人と、未熟でませてて真っ直ぐな少年の拗れに拗れた脳内が、この出会いによって具現化し、ぶつかり合い、科学変化を起こし、何かが変わる。

人は1人が好きで1人でいたくても、結局は1人で生きてはいない。
少なからず他人との関係があって、それが時にうんざりすることだとしても、それもひっくるめて、関わる環境全てから映されるのが自分であり、自分の人生でもある。

同じことでも見方が変わることもあり、うんざりすることも楽しさに変わることもある。
変わらずうんざりすることがあっても、何もないよりかは人生を豊かにする。

それを子供に気付かされ、気付かされるだけではなく、一緒に享受していく。
この2人の歳の差を超える“親友”感、憧れすら芽生える素敵な関係。

久々に観ても癒され元気がもらえる良い映画だった。

そして、大好きなレイチェルワイズがレイチェルという役名で出てる。めちゃくちゃ綺麗。この芯のある艶っぽさというかうるうるした目線に釘付け。好き。


F:1958
M:14007
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