オトマイム

沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇のオトマイムのレビュー・感想・評価

4.0
面白い!3作目にしてようやくシャブロルと仲良くなれた。

住込み家政婦として雇われたソフィー(サンドリーヌ・ボネール)は無口ではあるが家事は完璧、しかし次第にその不審な行動が露呈されていき…という、じわじわと怖さが押し寄せてくるサスペンスです。

食わせ者の郵便局員にイザベル・ユペール、彼女のいかれっぷりは最高。彼女の解放的な狂気とソフィーの沈黙の狂気が絶妙に絡み合って展開を誘導していく。
華麗なるブルジョワ夫婦、その娘のヴィルジニー・ルドワイヤンなどなど、美男美女揃いで目の保養になるし雰囲気も素敵。そして終盤のクライマックスはヌーヴェル・ヴァーグを彷彿とさせてクラっときました。弦楽器が奏でる不協和音も不気味さを煽っている。

こういうのを観ると、家政婦を雇うような身分も悩みが尽きないのだなーと思う。階級意識の強い国で労働者階級が上流階級に持つ妬み嫉みの感情って並々ならぬものがあるのだろう。
階級格差が片や馬鹿騒ぎのトーク番組、片やオペラといった、観るTV番組の対比にも表れていて面白かった。