オトマイム

家へ帰ろうのオトマイムのレビュー・感想・評価

家へ帰ろう(2017年製作の映画)
4.1
罪があるから殺される。きっとそうなのだろう。罪がなければ殺されるいわれはない。伯父の罪は、父親の罪は、幼い妹の罪は。絞り出される言葉が胸に突き刺さり、知らずに涙が流れていた。

アルゼンチンからポーランドへ、頑固じいさんのワケありひとり旅。ユーモアを交えて軽快にスタートするが意外に硬派で繊細。深いところに触れてくる。ホロコーストの生き残りである彼の信念は偏屈で時に滑稽ですらあるけれどじゅうぶん共感できたし、旅先で出会うひとたちの生き方や行動にも共感した。

ひととの出会いは宝もの。でも出会いを素敵なものにするかどうかは結局自分しだいなんだと思う。彼ら彼女らのように、いつでも相手を柔らかに受け止められる、風通しのいいピュアな心を持っていたい。出会えてよかったと思われるような魅力あるひとになりたいと思った。

彼の深い悲しみは彼女の心にしみこみ、彼女の悲しみは彼の心に風穴を開けた。だから彼は自分の足で大地を踏みしめたのだ。