オトマイムさんの映画レビュー・感想・評価

オトマイム

オトマイム

驚きを求めていつも映画をみます
内側の触覚にふれてくる映画なら最高

映画(429)
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.1

気が遠くなるほど深い奥底に眠っている、自覚すらない記憶。それにそっと爪を立てられるような、ひんやりした郷愁が立ちのぼってくるような感覚。そんな映画だった。

行ったこともない国や時代の映像に無性に郷愁
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イマジン(2012年製作の映画)

4.4

何かを「見る」には必ずしも目は必要ではないのかもしれない。

たとえばよく通る道に新しい店を見つけたとき。あれ、ここは以前何のお店だったかな?と考えても思い出せないことはないでしょうか。私はよくあるん
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懺悔(1984年製作の映画)

4.3

『祈り』トロリジー最終作である本作は前2作とは作風が異なり、時にコミカルな描写もある現代ドラマ。緻密な構成の中に様々な寓意が含まれているようでたいへん見応えがあった。
夫が奏でるピアノの音をバックにし
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希望の樹(1976年製作の映画)

4.5

大地に耳をあて革命が近づく足音を遠くに感じても、彼らが愛を成就させるには時代が早すぎた。引き回しの刑に甘んじても泥を投げつけられてもその姿はどこまで高貴で、その魂をだれも汚すことはできない、そして魂は>>続きを読む

祈り(1967年製作の映画)

4.5

全編、詩のようであり激流のようだった。目も眩むような幻想的なファーストカットに始まり、視点が自在に変わるナレーションが彼らの心情を代弁し、ほぼ会話はなし。キリスト教とイスラム教との対立を軸に人間の尊厳>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.3

浴びるようにパワーをもらった。曲がかかる場面はずっと鳥肌。
曲が生まれる瞬間とかハーモニーを複雑に重ねる録音風景とか、そんなエピソードから実際の歌に切り替わる演出がとても印象的だった。私はQueenは
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とらんぷ譚(1936年製作の映画)

4.1

初ギトリ。監督による、ひょうひょうとした立て板に水の如きナレーションが病みつきになりそうなほど心地よい。

家族全員毒キノコで死んだのに盗みを働いた罰(食事抜き)によってただひとり生き残った少年。罪の
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チェス狂(1925年製作の映画)

3.8

寝ても覚めてもチェスのことが頭から離れない強迫症気味の男をめぐる短編サイレント喜劇♟チェスボードのチェック柄モチーフをネタにしたギャグがなんともスタイリッシュです。極寒のロシアの古い街並みとか、モスク>>続きを読む

ナポレオン(1927年製作の映画)

4.5

はっきり言ってアベル・ガンスは映画のヘンタイです。やりたい放題暴れ放題で相当ラディカル、映画の可能性の飽くなき追求をコテコテに見せつけられてもう胸がいっぱい、お腹いっぱい^ ^;;

まず少年時代の雪
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ラ・マルセイエーズ(1938年製作の映画)

4.0

フランス国歌ラ・マルセイエーズはフランス革命の時に誕生した。地方の小さな軍隊で歌われはじめた名もない歌が南仏マルセイユから徐々に広まり革命家たちの士気を鼓舞する力となる、その様子はちょっと感動的です。>>続きを読む

恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.4

すばらしすぎる。劇場鑑賞おすすめ度最高レベル。完全版の再映に奔走したフリードキン監督の熱意と労力にはただただ、敬意と感謝を表したいです。
ひょっとしたら、これほど心酔できるアクション&サスペンス映画は
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彼女は陽光の下で長い時を過ごした(1985年製作の映画)

4.6

憧れの異国を旅する。言葉の片鱗しか解せなくとも彼らの会話や息づかいに耳を傾け、街の匂いを思いきり吸いこみ、彼らの日常にすこしでも溶けこみたいと願う。字幕なしで観た本作はみずみずしくて切なくて、心わきた>>続きを読む

不滅の女(1963年製作の映画)

4.3

アラン・ロブ=グリエ初鑑賞。パズルのようにばらばらに配置されたイマージュが繰り返され、流れるように音楽のように展開し、それはデュラスの小説を読んでいる感覚と似ていた。
『去年マリエンバートで』の脚本を
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.7

モラトリアムな映画にありがちな生々しい嫌らしさを感じさせず、驚くほど清々しい空気が流れているのはなぜだろう。そしてこの時期特有の刹那的な気持ちが痛いように伝わってくる。彼らはキレキレの美男美女ではない>>続きを読む

ムーンライティング(1982年製作の映画)

4.1

スコリモフスキ監督のイギリス時代は傑作揃いですね。『早春』と似た、なんともいえない黄色味がかった色彩と質感が味わい豊か。

男4人がロンドンに来て不法労働している最中に故郷ポーランドで戒厳令が敷かれる
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サルト(1965年製作の映画)

3.5

初めからツィブルスキが81/2のちょっと情けないマルチェロ・マストロヤンニにみえてしまって(醸し出す雰囲気が似てる気がする。あんなに二枚目じゃないけど)、そしたらなんと81/2みたいなダンスが始まって>>続きを読む

約束の土地(1974年製作の映画)

4.0

映画祭のパンフによるとワイダ監督の最高傑作とも言われているらしいがその真偽のほどはともかくとして、政府から潤沢な予算を受けて制作された渾身の力作であることは確か。要所要所でドラマチックにぐいぐい引き込>>続きを読む

イーダ(2013年製作の映画)

4.0

寂寞とした冬景色とイーダの出自を辿る旅が一貫してフィックスのカメラで捉えられ、その構図ひとつひとつが卓越している。空間の取り方がたいへん個性的。そしてラストだけは移動カメラ。その静謐な映像は何か神話の>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

5.0

涙を見せずに泣いているあなたを抱きしめてあげたいけれど、あまりにも無防備で痛々しくて触れると壊れてしまいそうだから。だからせめて並んで歩いたり、同じ電車の向かいの席に座っていよう。ひとりきりじゃないと>>続きを読む

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

3.6

永遠にひとりを愛せる人ってどれほどいるのか。迷いなく結婚に踏み切れる人ってどれほどいるのか。それより、永遠に愛するなんて言葉をどうして言えるんだろう。この作品はアイロニーに満ちている。新婦・新郎・家族>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

4.3

染谷将太と石田法嗣が水と魚/魚と水/水と水…みたいに溶けあったり離れたり。触れそうで触れないふたりのダンスの圧倒的な支配力。触れたくて、逆に触れるのが怖くて、それでも触れないでいる時がいちばんエロティ>>続きを読む

夜と昼(1976年製作の映画)

3.7

"人生には夜と昼がある"
19世紀末に始まり半世紀にわたる、ある家族の大河的ドラマ。

ポーランド映画には強い女性が多く登場する。早口でまくしたてるヒロインはクセが強く、ある意味魅力的(昔の男を忘れら
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クリスマスの夜に(2017年製作の映画)

3.6

クリスマスに突然故郷に帰ってきた男を驚きつつも温かく迎える大家族。しかし男にはある秘密の計画があって…という『たかが世界の終わり』的なシチュエーション。

テレビやスマホへの意識の違い、兄弟間の確執、
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

4.0

初・濱口監督。質感とか温度とかがすごく好き。自分とはまったく交わらない世界のはずなのに竹箒みたいなものでざざっと心の中を撫でられたようなかんじがした。それぞれの孤独や欲望が絡み合いそうになるものの言葉>>続きを読む

人間ピラミッド(1961年製作の映画)

4.4

これいいなぁ、大好き!素人俳優たちの自然体の演技と16ミリフィルムのくすみを帯びた色彩、そして流れるようなカメラワークがみずみずしく伸びやか。ハッとするような素晴らしいショットがたくさんあって差別・偏>>続きを読む

この夏の感じ/サマー・フィーリング(2016年製作の映画)

4.2

ベルリン、パリ、ニューヨーク。それぞれの街に夏は必ず訪れる。生命力を放つ木々の葉、行き交う人々の笑顔、光の目映さや熱を帯びた空気。それらはすこしずつ異なっても美しい季節であることに違いはないはずなのに>>続きを読む

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

4.0

レバノンは中東にあるからイスラム教かと思っていたら実はキリスト教徒の割合がいちばん多いとか、レバノン内戦の難民がフランスに移住する映画を見たことがあるからフランスとのつながりは強そうだなとか、それくら>>続きを読む

コレクションする女(1967年製作の映画)

4.0

ロメールの作品はどれもそこはかとなく官能的だけれど、本作は監督自身がそれを大いに狙っているという点が珍しい。フェロモンダダ漏れのアイデ・ポリトフの魅力をとにかくカメラに収めたいがために作った作品なので>>続きを読む

つかのまの愛人(2017年製作の映画)

4.0

とてもよかった。フィリップ・ガレルは男女の痴情のもつれをストレートに描くのとミニマムな作風から閉塞感を感じてしまうのだけれど、これは父親目線も入ってくるので風通しよく感じる。一方で女たちが病気っぽかっ>>続きを読む

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)

4.4

もしも私が故郷の風景を思い出に残したいと望んだら、そして私がこれだけのセンスを持ち合わせていたら、間違いなくこんな映像を撮りたい。揺れて粒子の粗い映像のかけらの集まりとたくさんのNo.が振り当てられた>>続きを読む

ひかりのまち(1999年製作の映画)

4.3

おびただしいひかりが溢れにじむ都会の夜。家路を急いで、享楽を求めて、愛を探して、街を泳ぐひとたち。ネオンがこんなにも美しい映画をたぶん初めて観た。

肌を重ねても満たされず涙がこぼれるのはなぜだろう。
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13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

4.5

すばらしかった。鬱々とした深い哀しみの海底を彷徨っているよう。女優であるパートナーを自殺により失い失意の中撮られたとのことで、なるほどと納得できる。
男性から女性へと性転換したエルヴィラの苦悩と孤独。
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第三世代(1979年製作の映画)

4.0

難解で理解しきれていないけどおもしろかった。《意思と表象としての世界》をはじめとする哲学的な言葉にあふれちょっとゴダールっぽいなと思った。とても刺激的なのだけれど、脈々と波打つ情熱とか、何かへの渇望と>>続きを読む

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.5

IMAX初体験。迫力の映像とお腹にドコドコ響く大音量を全身に浴びてきました。ふだんミニシアターに行くことが多いせいもあってかなり刺激的だった。ああ、幸せ〜

じつは昔、DVDを1/3くらいで観るのをや
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ひなぎく(1966年製作の映画)

3.0

女の子は自由気ままに振る舞っていいんだよ
どこまでも残酷になっていいんだよ
女の武器を最大限に利用してね
だってそのほうが楽に生きられるから
なんにも悩まなくてすむから
女の子はわかりすぎるほどわかっ
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現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.5

渋い・粋・しびれる。この3語に集約される大好きな一本。フレンチ・フィルムノワールの元祖にして金字塔にして傑作!

☆好きポイント☆
①何はともあれジャン・ギャバン。やたら厚みのあるずんぐりした体躯は熊
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