紅茶

エル・スールの紅茶のネタバレレビュー・内容・結末

エル・スール(1982年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

エル・スールは"南"という意味。本作では、スペインの南部地方を表現しているが、中心となる舞台はスペイン北部。というのも南部の地にはアグスティンとその祖父との確執があった土地である。フランコ政権以降、自身の政治的スタンスから、居場所を見失うアグスティン。画面に映し出される彼の不可解な行動に対して、探偵のように追尾し、子どもながら彼への理解に努める娘エストレリャが純真。ただ、彼女も成長するにつれ、父への思いも離れ、父は自害し、残されたエストレリャ含む家族たちはエル・スールへ向かう。悲しみに満ちた物語ながらも、共和制時代のノスタルジーを捨て、前進せねばならない小市民を描いた作品でもある。
エストレリャの政治的介入は無いものの、両親という"大人"の存在に嫌気がさし、ベッドの下に籠るという意思表示は、本作のジャケットに使われているようにベストショットだと思います。
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