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エル・スールのkaoruiのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
5.0
映画とは光をフィルムに焼き付ける芸術であることを改めて思った。
オープニングクレジットの中、ゆーっくりと光が差し込み色付いていく窓の景色。部屋の外からくぐもって聞こえる「アグスティーン!」の声。小箱から取り出すペンダントの重量感。朝の透明な空気の中ホロリと溢れる涙。
風見鶏の家の玄関から連なる並木道。背後に聳える雪混じりの山から遠く響く父が撃つライフルの音。それでも教会の入り口の暗がりに現れる。父の顔、娘の手。
繊細に動く光と闇のコントラストをフィルムに焼き付ける。

結婚式の饗宴の音が漏れてくる中の父娘の会話のリバースショット、無邪気な娘の顔、父の顔、顔、顔、、、、

この映像表現の素晴らしさは今僕の中にある言の葉ではとても表せない。
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