地球外生命体による世界各国の主要都市への侵略が突如同時に開始され、惑星規模の戦争が発生するという設定でありながら、タイトルにもあるように、ロサンゼルスを舞台とした戦闘に限定し徹底的に描くという、かなりシンプルかつストイックな構成の戦争SF映画。
製作者達が実現したかったであろうことは本篇を観れば明らかで、これは主人公達にとって敵対する存在として高度な科学力を持つ異星人というフィクショナルなモチーフを置きながら、米国の主要都市における米軍とその敵対存在との戦争状況、特に容赦ない市街戦を存分に描きたいという意図だったのだろう。
そしてその意図においては、VFXの品質の高さや臨場感あるカメラワークおよびアングルの切り取り方も含め成功しているように感じる。
脚本については脆さが目立つ部分が多いが、人物達の心情よりは戦争という状況そのものが作品の主役なのだと解釈すれば、細かい部分を気にし過ぎずおおらかな心持ちで観賞できるようにも思う。
米軍の存在やその戦争行為を正当化・礼賛 (プロパガンダ) する映画だという批判の声もあるようだが、それはおそらく製作者達の裏テーマとして存在していたのだろうと、自分も思う。
俳優達は主人公役を演じたアーロン・エッカートをはじめ皆好演しているが、何しろ導入的な前段はほとんどすっ飛ばして本篇のかなり冒頭段階から戦争状況が始まるので、鑑賞者としてはそれぞれのキャラクターの理解が追いつかない。
軍人達の衣装が (軍隊なので当たり前ではあるが) ほとんど一緒なこともあり、誰がどんな性格で何の役割だったっけと混乱してしまう人もいそう。
ディープな映画ファンからの評判は決して高くない映画のようだけれど、現代における戦争状況を擬似的に体験できる作品として観れば、その緊迫感・恐怖感・没入感を充分に味わえる作品になっているのではないかと感じた。
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