慎ましく生きること。いまの私たちに欠けている、人としての“品性”を問う映画。
太平洋戦争の終戦近くから、戦後の混乱期を経て、高度成長期に差しかかろうとする日本で、聾唖者の夫婦の半生を追っている。現在と異なり、障碍者に対する差別は当たり前の時代。二人で力を合わせて生きていこうとする、その健気さに感動しました。
弟が度々金を無心にくることの申し訳なさから、秋子は別れることを決意。それを追いかける道夫。混雑する電車の中で、彼は彼女を追いきれず、隣の車両の連結面にある窓越しに手話で会話する。それは健常者には無理なことであり、聴覚が不自由な二人だからこそ可能な会話だった。まさに名シーン。