マーくんパパ

わが恋せし乙女のマーくんパパのレビュー・感想・評価

わが恋せし乙女(1946年製作の映画)
3.9
ほろ苦いが心地よい失恋センチメンタル映画、結構好きな佳編。浅間山麓の牧畜農家、吹き渡る風と広く大きな空が戦後の開放感とのびのびした空気が画面一杯に感じられる。その農家に捨て子として拾われ育った娘ヨシコと5年の戦地から復員した後継長男ジンゴ。義理の兄ジンゴは美しく成長したヨシコを目映く見つめる。歌の好きなヨシコとハーモニカ伴奏して仲良く過ごした幼い日々。母もジンゴもヨシコと結ばれることを願い今でも仲睦まじい2人に暗黙の了解あると信じている。しかしヨシコは疎開してきた足の不自由な傷病兵を真剣に愛している事を祭の夜に打ち明けられる。嘆き悲しむ母の傍ら、ジンゴは自分の想いは封印し2人の幸せを願う。戦後、打ちひしがれて故郷に戻ってきた多くの復員兵や傷病兵たち。当時この映画に生きる勇気と喜びを貰った多くの人たちの輝く顔が画面の向こうに透けて見えて来る。