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禁じられた遊びのGTのネタバレレビュー・内容・結末

禁じられた遊び(1952年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

テーマ曲が超有名な反戦映画。中学の時、音楽の授業の時ギターでこれを弾いたのを思い出す。
 両親を機銃掃射で失ったポーレットと一時的に引き取られた家の少年ミシェルが動物の墓を作るために教会の十字架を盗むというストーリー。「反戦映画」という括りになってはいるが、個人的には反戦というメッセージは希薄だという印象。
 確かに前半、機銃掃射でポーレットは両親を失うという、悲劇的な展開だが、意外にもポーレットは、両親が死んでしまったことへの悲しみを面に出すことはない。それよりもどちらかというと犬が死んでしまったことを悲しみ、犬が寂しくないように様々な動物を捕まえて、そこに埋めることに固執する。ミシェルはポーレットのために、己を犠牲にしてまで十字架を求める。そこにあるのは、子供が起こす行動の不条理さと純真さだけである。
 ポーレットは警察に引き渡され、赤十字に連れて行かれてしまう。完成した動物の墓場を見ることは、ついに叶わない。ポーレットは人がごった返す駅にて、「ここで座っていて」という修道女の言に従わず「ママ!」と言いながら人混みの中を走り抜ける。ここで終わり、という何ともぶつ切りというかやるせない感じの終わり方。
 この映画は一体、何かを伝えようとしているのか、と終わった後考えてしまった。ひょっとしたらこの映画は、何も伝えることなどなく、ただ出来事をありのまま描いただけ、そこに含まれる教訓的なものは、各々が勝手に汲み出すしかないのではないか。例えば「墓を作る」という行為は非常に宗教的な行為である。そしてこの作品には、様々なところで聖書の引用などの宗教的な要素が含まれている。私はキリスト教に詳しいわけではないので何も語れないのだが、この映画の主題は「キリスト教」だとも言えるのではないか。あるいは「貧困」だとか、様々な側面から、この映画は分析できるのかも知れない。
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