ひろ

炎のごとくのひろのレビュー・感想・評価

炎のごとく(1981年製作の映画)
4.5
冒頭、現在と過去(菅原文太と倍賞美津子が出会うキッカケ)をカットバックで見せて行く異様さに戸惑うが、こうやらずに過去を描くと150分超えてしまう。したがって、これは上手い。
現在の方で、高所恐怖症の菅原文太が崖で転んだ倍賞美津子に文句を垂れると、彼女が「どんなとこかおらに見えますか」と言い、先に盲目である事を自然な形で説明するのも良く、この高所恐怖症が伏線なのも見事。
そして、その過去の描写で、ひらひら降る雪の美しいこと!

倍賞美津子を殺された菅原文太が、殺した大垣屋へ乗り込んだものの、たしなめられて大泣きする場面。周りに大垣屋のメンツが居るのに、菅原文太が一人きりになったように撮られ、彼の背後の開いた扉から見える、舞う花びらと煙の美しさったらナイ!

男装した桜町弘子が刺されて、2階から落下する場面のショットの連鎖も見事。

菅原文太の倍賞美津子への愛が本作の根底にあり、ラストの「寄ったり離れたり」で感動へと繋がる。
ひろ

ひろ