ひろ

偶然と想像のひろのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.6
濱口竜介は『PASSION』で、暴力について論理的に説く場面があったが、その論理的台詞の応酬が、第一話から見られる。
膨大な台詞の応酬と緊迫感が画面を支配しているけど、ところどころ笑える謎の作品。

第一話『魔法(よりもっと不確か)』は、古川琴音と玄理の車内の会話で、カットが割られる瞬間にドキっとする。車内のシーンの始まりで、後ろから照らされて頬が煌めいた古川琴音の顔のアップが◎
冒頭の鳩の動きが良いので、そこばかり見ていた。
立ち去った人を追い掛けないように仕向けて、その後で追い掛けるのを持ってくるのが鼻につくけど巧い。
暴力的なズームも凄い。ホン・サンスかよ。
古川琴音が中島歩と会う時、古川琴音の顔を見た瞬間の中島歩の顔を画面に出さず、引きのショットの画面奥に中島歩を配置したまま、カメラは寄らず、ピント送りで中島歩の表情を読ませようともせず、カットを割って顔のアップを挟むわけでもない。擬似加藤泰の世界。

第二話では正面の切り返しになる瞬間が最高。キスさせない/キスするの行為で人生がガラッと変わる予感を見せるのが巧妙。

第三話は、配達員と長男の使い方が良く、明るい庭が異様に不気味。
分かりやすくイイ話なので後味良く終わる。
唐突に走り出す瞬間の高揚感。
ひろ

ひろ