とぶそうや

2001年宇宙の旅のとぶそうやのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
5.0
この作品は中学の頃に見て以来、映画館でリバイバルを見たのをを含め何度も見ているが、今回初めて映画を見ている途中にネットで検索してウィキペディアと考察を二つ読んだ。今はその知識が混在した状態で書いている。

「2001年宇宙の旅」は、キューブリックとアーサー・C・クラークがアイディアをまとめたストーリーを元にして各々映画と小説の形に同年発表した作品である。長い間、アーサー・C・クラークの原作を映画化していたと思っていた私はそれだけで驚くには十分だった。

それだけでなく、ディスカバリー号の乗員が食べる宇宙食は、NASAが実際に開発して本作のために提供したものであり、コンピュータの設定や画面はIBMが協力していると知って、この時代の本気を見た気がした。

そして、この作品が作られたのは1968年。まだ月面着陸もしてないし、宇宙から見る地球の全景も明らかにされてない頃なのである。

今見れば、SF的なツッコミどころは沢山あるのだが、圧倒的に息を飲むしかないのは構図の美しさ、アングルの大胆さ、色使いの徹底さである。実にキューブリックらしい、他の作品でも見られる完璧主義さだ。

モノリスによって進化したヒトザルの手から高く飛ばされる道具としての骨は、綺麗だなーぐらいにしか考えてなかったのが、骨の次に映るのが軍事衛星だったとは気づきもしなかった。その後の博士との会話で冷戦時代だってのはビシバシ伝わってきたが。

今回は、HAL9000の人間くささに笑った。人ごとポッドを宇宙に投げ飛ばすとか冷凍睡眠のスイッチを切るとかやることは大胆な癖に命乞いは実に子供っぽい。いや、子供なんだなぁ、きっと。

ボーマンが最終章“木星、そして宇宙の彼方へ”で包まれる虹色の世界もモノリスによって何処かに連れ去られているんだと思ってたけど、モノリスの中に引っ張り込まれているとは思ってなかった。

そしてそこで見る虹色以外の風景。ビッグバン。銀河系。超新星。広がる星々(ここら辺はイームズ夫妻の「パワー・オブ・テン」の内宇宙につながるところもある)。生まれる前のスターチャイルド。複数のモノリスと同系のもの。どこか分からないが大地。大地が続いて、白い部屋である。

白い部屋は人間的に解釈するとこんな感じ?っていうモノリスのサービスと思ってた。老けていくのもゲートをくぐった後の後遺症のようなものかと。あとは、AKIRAでもLUCYでも繰り返し観たイメージ。新たな宇宙へ進化する。まあ、この作品が全ての元なんだけども。

とりあえず、今回もラストの章は圧倒される。何の説明がないのが素晴らしい。あったら冷める。だから小説は読めない。
昔は普通に2010年も続けて観たりしていた。観たい。でも、その前に惑星ソラリスがやはり観たい!