とぶそうや

ダンサー・イン・ザ・ダークのとぶそうやのレビュー・感想・評価

2.5
とうとう観てしまった。周りから低評価(というか多分後味悪いくらいの感じだったんだろう)ばかりで、ビョークファンなのに避けに避けてきた作品である。
ニンフォマニアックと違って、手持ちカメラで自然光、ジャンプアップカットの多用しており、「奇跡の海」「イディオッツ」と含め、「黄金の心」三部作の一つらしい。三部作好きなのだな。
これがミュージカルなのだが、その部分は全てビョークの妄想か舞台シーンで、本当に救いがない。
その上、遺伝で失明してしまう病が息子にも伝わると、内職も含めて貯金していたお金を秘密を明かした家主に盗まれ、返して欲しいと詰め寄ったところ、一悶着あって家主を殺してしまう。家主が警察を呼ぶよう頼んだ妻のせいで捕まり、裁判の果て死刑になってしまうというもう救いようのないストーリー。昔からのサポートしてくれる友人(カトリーヌ・ドヌーヴ)の計らいでそれまで貯めていたお金で死刑を減刑してくれるよう裁判のやり直しを求めるのだが、ビョークは頑固としてそれを断り、自分の死刑の代わりに息子の目の治療を求める。そして、ビョークの死刑の日が迫るが。どこまでも救いがない。

ミュージカルシーンでは、最初の歌と最後(クレジットでなく)が良かったかな。最後の歌はどうあっても泣くでしょ。逆に、家主を殺した後の歌は笑った。

ビョークの演技は、邦画で言えば岩井俊二の作品のCharaって感じで、歌は知ってた通り凄いんだけど、雰囲気で押してる感じがしたかな。凄みがあまりなかった。
それよりは、化粧控えめでしばらくドヌーヴ??って分からなかった彼女の方がさすがと思った。

息子の方も救いがないラストにならなくて良かった。そうなっていたら、多分トリアー監督の作品を観なくなっていたろう。ビョークの抵抗に拍手。

タイトルの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は文字通り盲目のダンサーって意味もあったろうけど、暗闇のような世界で踊るかののように人生を生きていく女性って意味もあったのではなんて思った。

塚本晋也の「KOTOKO」を思い出した。