りっく

2001年宇宙の旅のりっくのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
5.0
球、円、弧、回。至る所に散りばめられた丸のイメージが、HALの赤い灯に、デイヴィッドの瞳孔に、スターチャイルドの瞳に収斂していく。

そのイメージと対照的な黒々と角ばったモノリスとが一直線上に並ぶ構図の美しさ。そこからどこまでも奥へ奥へと突き進んでいくイメージの洪水はもはや人知を超えたレベルで恍惚の極み。

太陽と三日月が並ぶ不気味さ。丸のイメージと細長いマザーシップは、卵子と精子のメタファーとして見え、そして月の満ち欠けにより宇宙と母胎を繋げる壮大な物語は、映画的な飛躍とダイナミズムに圧倒される。

クラシック音楽を効果的に使用する一幕目から、アラーム音や不協和音がけたたましく鳴り響く二幕目と、映像体験だけでなく音の構成も見事。

動物も人間も機械も生存本能を抱えている。それが危ぶまれた際に、相手の命を奪おうとするのか、理性的に行動するのか感情的になるのか。その行動原理を観察するだけでもスリリングな映画である。
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